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【政治】

自民秘書、大量失職に不安 民主への移籍望む声も

2009年9月4日 09時31分

 衆院議員会館で荷物の整理を終え、引っ越し業者の到着を待つ公設秘書だった男性。今後、就職活動が待っている=2日

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 衆院選で歴史的大敗を喫し、181議席を失った自民党の秘書が身の振り方に悩んでいる。失職する事務所スタッフは公設秘書だけで500人超とみられ、「当面は蓄えで食いつなぐしかない」と、嘆きや不安が広がる。多くの新人が当選し、人材探しが切実になりそうな民主党への“移籍”を望む声も出ている。

 「かつては派閥で(落選議員の)秘書の受け皿を作っていたが、これだけ大敗すると無理」。静岡7区で落選した片山さつき氏の公設秘書だった男性(55)は語る。議員会館の引っ越しを終えると自宅待機の身だ。秘書経験者の数は限られており、経験と知識を買って民主党が受け入れてくれるかどうかに注目している。

 国会議員は、国から給与が出る公設秘書を3人まで持てるが、衆院の場合、解散で契約は終わる。議員が落選すると、新たな秘書の口を探さなければならない。雇用保険の制度はなく、この秘書は「永田町のセーフティーネット(安全網)も考えてほしい」と求める。

 秋田3区で落選した御法川信英氏の父の代から約20年間、秘書を務めた元政策秘書(54)は、自宅ローンに加え、2人の子どもが大学に通う教育費の負担が重くのしかかる。地元でのあいさつ回りなど残務整理後に、再就職を考えるつもりだ。

 事務所を支えた私設秘書や事務員、パートらの行く末も気掛かり。若い人には「民主から声がかかれば行った方がいいよ」とアドバイスするが、自身は「これまでずっと自民で来たから…」とちゅうちょしている。

 「1カ月ほどしたら、秘書仲間と一緒に川を渡ろう(民主に行こう)と思っている」と明かすのは、別の落選議員秘書。「使える秘書なら(民主でも)使ってもらえる。そうでないと生活できない」と話した。

 一方、143人もの新人が当選した民主党。衆院の同党秘書会には、勝利を見越して選挙戦のさなかから、秘書経験者らが履歴書を持って訪れた。秘書希望者の名簿には既に数十人の名前が並ぶ。秘書会では、同党議員の秘書を務めた経験者や民間の希望者を議員に紹介しているという。

 「特別国会まで時間がなく、新人議員が秘書を採用するのは大変」。秘書会の鬼ケ原克志会長は言うが、「それでも自民の元議員秘書を名簿に載せるわけにはいかない」と付け加えた。党関係者も「情報漏れが心配だ」と話し、秘書の“渡り”に難色を示している。

(共同)
 

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