ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 京都 > 記事です。

京都

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

イスラエル:ガザ侵攻報告会 講演や対談、被害伝え--下京 /京都

 ◇「忘れることは次の虐殺の準備を許すことに」

 「ほとんど報道されなくなったが、私たちが忘れることは次の虐殺の準備を許すことにつながる」。昨年末からのイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ侵攻を考える報告会がこのほど下京区であった。被害状況を伝える現地の大学教授からの電子メールを和訳・再発信した岡真理・京都大大学院人間・環境学研究科教授と、1~2月に現地を取材したジャーナリストの志葉玲さんが講演、対談をして、関心を持つこと、できる行動をすることを呼び掛けた。

 現地のアル・アズハル大のサイード・アブデルワーヘド教授が昨年12月27日から発信した電子メールは、岡教授の翻訳・解説と志葉さんの写真を加えて「ガザ通信」(青土社)として出版されている。報告会はピースムービーメント実行委員会などが主催し、120人余りが参加した。

 志葉さんは、父は頭を吹き飛ばされ、母は内臓をバラバラにされて殺害された少女を紹介した。現場に残された“アラブ人の墓”“いくら逃げても見つけ出す”との落書きを写真で見せて「イスラエル軍の攻撃の圧倒的なひどさ」を伝えた。

 「建物の破壊のすさまじさに気を取られるが、少女は私が会うまで6日間何も食べていなかった。以前は元気な子だったというが、ショックで表情はほとんどなかった」と振り返り、「現地の知人から6月に送られてきた写真では状況は同じだった。イスラエルの封鎖が解かれない限り、何も変わらない」と述べた。

 岡教授は「今回の攻撃はパレスチナの人々が60年間、人権をはく奪されてきたことの結果に過ぎない。それを世界が忘れ去っていたことが虐殺を生み出した。必ず次の攻撃が起きる」と指摘。一方でアブデルワーヘド教授が日本での出版を喜び、英国でも英語版の出版準備が進んでいることを紹介し、「闇の中から発信していた彼にとって、地球の反対側で受け止める人、宗教を超えて共感する人がいることが支えになった」とも語った。

 対談では、岡教授が「これまで日本のODA(政府開発援助)で建設された施設なども攻撃され、破壊されてきた。私たちの税金なのに、国民も政府も抗議しない」と歯がゆそうに話し、「明らかな戦争犯罪で裁かれなければいけない。今回の攻撃を私たちがどう批判するかで、次が違ってくる」と訴えた。

 志葉さんは「私たちに何ができるのかとよく聞かれるが、例えば友達との集まりなどで、ちょっと5分だけちょうだいと言って伝えることもできる」と提案し、岡教授は「現地からの英語の情報を翻訳したり、写真の展示などで周囲に伝えることもできる」と話した。【太田裕之】

   □

 ◇11日に朗読劇

 岡教授らによる朗読劇「ガザ 希望のメッセージ~聞こえますか、パレスチナの声が--」が11日午後7時から、左京区の多目的カフェ「かぜのね」である。一般500円、学生300円で要予約。主催の「つばめクラブ」(090・3286・0523)。

毎日新聞 2009年9月3日 地方版

PR情報

京都 アーカイブ一覧

 
郷土料理百選
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド