2009年8月22日

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高度交通システム(ITS)技術のための標準化組織


Paris, France
日本の失敗産業と成功産業は間もなく融合する(通信と自動車)」で述べた自動車ネットワークという、新しいビジネスを解説しました。この分野での欧州における研究プロジェクトを「高度交通システム(ITS)研究のための欧州プロジェクト」でまとめました。このエントリでは標準化組織を紹介していこうと思います。

技術が優れる日本が世界で勝てない理由としてもこの「標準化」というのが挙げられています。
日本の携帯電話メーカーは本当に世界で通用しないか[2] ビジネス-夏野剛のネオ・ジャパネスク論:IT-PLUS

 そして最後に政治力も重要である。通信の世界では「標準化」という作業がきわめて重要である。...(略)... これを民主主義的なプロセスで決めていくので、そのプロセスはきわめて政治的になる。海外メーカーは大きな予算と人員を割いて標準化のプロセスに積極的に関わっている。...(略)... 標準化会議中は、議長も投票で選ばれるし、毎晩のようにパーティーや個別会合が開かれ、さながらワシントンの外交ロビイング活動のようである。
なかなか、感覚が掴みにくいと思うので、自動車ネットワークの分野ではどのような場で標準化が行われるか、代表的なものを見ていこうと思います。メーリングリストでの議論で仕様が決まる組織や、一国一票制で仕様が決まる組織などいろいろあります。一国一票制度は、EU27ヶ国に有利なルールなような気もしますが、そう決まっているからにはそれのルールでやるしかありません。

今回は、IETF、ISO、IEEE、ETSI、CEN、SAE、ITU、IECを紹介します。

Internet Engineering Task Force (IETF)

The Internet Engineering Task Force (wikipedia)
The Internet Engineering Task Force (インターネット技術タスクフォース、IETF) はインターネットで利用される技術の標準化を策定する組織である。

極めてオープンな組織で、実際の作業を行っている作業部会(Working group; WG)のメーリングリストに参加することで、誰でも議論に参加することが可能となっている。

通常はメーリングリスト上で議論が進むが、年に3回(2回はアメリカ国内、1回はそれ以外の国)に会議が開催される。この会議も参加費を払うことでだれでも参加が可能である。日本国内では2002年に横浜(パシフィコ横浜)にて会議が開かれたことがある。
ちなみに、次回の76回IETFは、2009年11月8日から13日まで、広島で開催されます。自動車ネットワークに関係するワーキンググループはモバイル系と複数接続性とその他に分けられます。

モバイル系
  • mext Mobility EXTensions for IPv6
  • mip4 Mobility for IPv4
  • mipshop Mobility for IP: Performance, Signaling and Handoff Optimization
  • netlmm Network-based Localized Mobility Management
  • manet Mobile Ad-hoc Networks
  • autoconf Ad-Hoc Network Autoconfiguration
複数接続性/マルチホーミング
  • mif Multiple Interfaces
  • shim6 Site Multihoming by IPv6 Intermediation
その他
  • 16ng IP over IEEE 802.16 Networks
  • dna Detecting Network Attachment
  • hip Host Identity Protocol

国際標準化機構 ISO

国際標準化機構 (Wikipedia)
国際標準化機構(こくさいひょうじゅんかきこう、International Organization for Standardization)、または略称 ISO(アイソ、アイエスオー、イソ)は、電気分野を除く工業分野の国際的な標準である国際規格を策定するための民間の非政府組織。本部はスイスのジュネーヴ。スイス民法による非営利法人。公用語はフランス語、英語、ロシア語。各国1機関が参加できる。
ISOは主要な産業分野の標準化を、「技術委員会(Technical Committee)」の下で行う (wikipedia)」とあり、高度道路交通システム(ITS, Intelligent transport systems)は204番の技術委員会(ISO TC204)で標準化が行われます。

CALM (Communications Architecture for Land Mobile environment)
特に、自動車ネットワークの標準化は、ISO TC204 WG16( 通称CALM)で標準化が行われています。



IEEE

IEEE (The Institute of Electrical and Electronics Engineers)

IEEE(アイトリプルイー、The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)は、アメリカ合衆国に本部を持つ電気・電子技術の学会である。

対象とする分野は電気工学を源流とする通信・電子・情報工学とその関連分野に及ぶ。専門分野ごとに39のSocietyと称する分科会を持ち、それぞれに会誌(論文誌)を発行している。他に主な活動として標準化活動(規格の制定)を行っている。また、この学会が定めた規格の名称はIEEEで始まる。
通称Mobile MiMAXよばれる通信技術の仕様は、IEEE 802.16eとしてIEEEで策定されています。Mobile WiMAXは主な応用例として、自動車ネットワークへの適応も想定されています。


欧州電気通信標準化機構 (ETSI)

欧州電気通信標準化機構 (wikipedia)
欧州電気通信標準化機構 (European Telecommunications Standards Institute, ETSI;エッツィ) はヨーロッパの電気通信の全般にかかわる標準化組織である。

欧州電気通信標準化機構は、ヨーロッパにおける(通信機器ベンダーやネットワーク事業者など)電気通信産業に関する独立非営利の標準化機関であり、世界的な影響力を持っている。ETSIは携帯電話システムGSMや、公共保安用デジタル移動通信システムTETRAの標準化で成功を収めている。ETSIの標準化組織は、(固定ネットワークとインターネットとの一元化のための)TISPANなど数多くの組織を含んでいる。ETSIは3GPPの設立にも関与し、パートナーとなっている。


欧州標準化委員会 (CEN)

欧州標準化委員会
欧州標準化委員会(仏: Comité Européen de Normalisation、CEN)は、一貫した標準規格と仕様の開発・保守・配布を行うための効率的基盤を提供することによって、国際社会におけるヨーロッパ経済の力を強め、ヨーロッパの市民の福祉や環境を高めることを目的とした私的な非営利組織である。

1961年、創設。13カ国のメンバーが共同で様々な分野の欧州規格(European Standard、EN)を策定し、製品やサービスについてのヨーロッパ共同市場を構築し、世界経済におけるヨーロッパの地位向上を図っている。一部の規格は自発的なものだが、EUの法律の定めに従って策定されている義務的規格もある。


Society of Automotive Engineers (SAE)

SAE(Society of Automotive Engineers)

SAEは、モビリティ専門家を会員とする米国の非営利的団体。SAEとはSociety of Automotive Engineers(ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ)のイニシャル。2006年現在、約9万人の会員を有し、1)自動車関連及び航空宇宙関連の標準規格の開発、2)専門家会議の開催、3)動力機器に関する書籍・雑誌の出版、4)数学・科学・エンジニアリングの発展を促す教育的活動、等をおこなっている。

正式名称はSociety of Automotive Engineers, Inc. (ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ・インク)。「Society of Automotive Engineers」と「SAE」は登録商標であるが、現在、「SAE International(SAEインターナショナル)」を前面に出している。



国際電気通信連合 (ITU)

国際電気通信連合(ITU)は国際連合の専門機関の一つである。無線通信と電気通信分野において各国間の標準化と規制を確立することを目的としている。そもそもは、1865年5月17日にフランスのパリで設立された万国電信連合に端を発しているため、ITUは世界最古の国際機関とみなされている。

主な業務は標準化、無線周波数帯の割当て、国際電話を行うために各国間の接続を調整すること(郵便の分野で万国郵便連合の果たしている役割を、電気通信の分野において担っている)などであり、無線通信部門 (ITU-R)、電気通信標準化部門 (ITU-T)、電気通信開発部門 (ITU-D) と事務総局からなる。本部はスイスのジュネーヴ。

日本は、1959年から理事国としてITUの管理・運営に参加している。



国際電気標準会議 (IEC)

国際電気標準会議

国際電気標準会議(IEC、International Electrotechnical Commission)は、電気工学、電子工学、および関連した技術を扱う国際的な標準化団体である。その標準の一部は国際標準化機構(ISO)と共同で開発されている。

IEC創立総会は1906年6月26日に開催された。そのきっかけとなったのは、1900年に開始されたパリ国際電気大会議 (Paris International Electrical Congress) である。その後、英国電気学会(IEE)と米国電気電子学会(IEEE, 当時は米国電気学会)などが中心となって話し合いが続いていた。この流れの中心的役割を果たしたのが E.R.B.クロンプトン大佐である。現在では130ヶ国以上が参加している。このうち65カ国が正式会員で、他の69カ国は Affiliate Country Programme(加盟国プログラム)と呼ばれ、正会員ではないがIECに参加して自国の工業化推進の補助となるよう考えられている。当初はロンドンに本部があったが、1948年にジュネーヴに移転した。

IEC憲章で規定された標準化範囲は、あらゆる電気/電子工学技術に及ぶ。具体的には、発電と送電、エレクトロニクス、磁気学と電磁気学、電気音響学、マルチメディア、遠隔通信である。また、これらに関連する分野として、用語と記号、電磁気的互換性、測定と性能、信頼性、設計と開発、安全性と環境への配慮などが対象となる。

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