CM付き0円国際電話・メディアコールズを考えた二人の人物へのインタビュー【中村祐介の電脳思考-特別掲載】
2009年09月03日11時00分 / 提供:ITライフハック
ブルース株式会社 代表取締役 野澤淳様、取締役 河村寛様
聞き手:中村祐介(株式会社エヌプラスhttp://www.nplus-inc.co.jp/)
中村祐介(以下:中村)お二人がメディアコールズを考えついた経緯を教えてください。
野澤淳(以下:野澤)もともと同じ広告代理店にいたとき、広告の少し外側で何かできないかと二人で話していたんです。
河村寛(以下:河村)仕事が終わって、ジョナサンとかで、プレゼンしあったんですよ。普段、生きていくなかで、もっと、こういうのがあったら絶対いいよねというのを、話しあった。コメントを言ったり、ダメ出ししたり、「いいね」とか「ダメだよ」とか言いあいながら。アイデア100個、出すまで、やり続けたことがあって。
野澤 仕事に疲れたとき、追われたときに、あえてもっと追い込んでみようって。アイデアを毎日1個、出してみようと。週に1回、7個を発表しあったんです。
中村 お二人とも、忙しかったのではないですか?
野澤 ええ、わりと忙しかったです。でも、いいのを持ってこられると、くやしくて、つい頑張っちゃうものですね。
河村 少しずつレベルも上がってくるし。アイデアには、商品企画とかアート的なものとか、公告、キャンペーン企画、Webネットワークを抜本的に変える仕組みとか、身近なものじゃなくて、世界を変えるようなものまでいろいろありました。
中村 モチベーション維持の秘訣を教えてください。
野澤 競争しあうことがいいのかもしれないです。相手を驚かせたいっていう気持ちが、何かを動かすのかも。
河村 話、それますけど、僕らネーミング考えるのも好きで、止まらない。やめっていうまで。夜始めても朝までずーっとやってる。アイデアを言いあうことがやめられない。他の人には考えられない、サガかもしれません(笑)。
中村 アイデアが100個できたときは、どんな感じでしたか?
河村 肉体疲労。マラソンみたいな。
野澤 なんでも100個やってみるもんだなぁって。満足したわけじゃないですけど、100個やると何個かは深堀りできそうなのがあるんです。でも根気が必要でしたね。ある種、戦いだったから…。
河村 プレゼンしあうと、ちょうど2〜3時間。終わるのが、深夜2時くらい。
中村 そこからメディアコールズが誕生したということでしょうか。
河村 100個のなかに、いくつか光るものがありました。ひとつは「メディア〜」っていう切り口でメディア化できるもの、メディアじゃないものをメディア化するっていう。電話とは限らない。消費者がトクをするアイデアを考えていました。
中村 市場がないところで市場を創っていくということでしょうか?
河村 そうですね。別に飛びぬけたアイデアではないんですけど、まだメディア化されてないものもたくさんあるので、そこに目をつけられないかなって。
野澤 すごく素人っぽく言うと、CMのおかげでTVは見られる。だけど、ついつい忘れちゃうんですね、CMのありがたみを。飛ばしてしまうことも多くなったし。でも、よく考えると雑誌でも主な収益は広告費じゃないですか。だから無料の雑誌も成り立っている。電車だって、もし広告費でペイできるなら、もっと運賃を安くできるのかもしれない。広告って本当は役に立ってるのに、気づかなかったり、邪魔者だったりする。広告があって良かったっていうものを作れば、スポンサーにとっても、消費者にとってもいいんじゃないかって思ったんです。
中村 メディアコールズ誕生のきっかけは、そんな中から生まれたわけですね?
河村 はい。KVHというBtoBに強いインフラの会社があるのですが、そこの方と話をした時に、アイデアの話をしたらドンピシャだった。
野澤 最初は国際電話でメディアを作ろうとは思っていなかったのですが、インフラがあって、通信システムがあって、やりたいことのモデルが似てるなって思ったんです。メディアじゃないものをメディアにするという考え方は、同じだって。
河村 メディアにするものはもっと他のものを考えていたんです。例えば、トイレットペーパーとかね。他にもいろいろ可能性を探っていました。ま、その一つとして、インフラの会社と協力しあえれば、国際電話でできるなって思ったんです。国際電話って高いですし。広告のおかげ、スポンサーのおかげで安くなるって思えば、少しは感謝してくれるきっかけになるんじゃないかって。
中村 それは、いつ頃のことでしょうか?
河村 2007年の5月頃です。
野澤 二人とも普通に広告の仕事はしていたんですが、まずは場所を作ろうと言う話になり部屋を借りたんです。仕事帰りにファミレス代わりになるような。それで次に、会社を作ってプロジェクトを動かそうっていうことになって。
河村 会社作るって言っても、一からというか0からだったんで、大変でした。
野澤 でも、アイデアが形になるなら、やろうと。
河村 メディアコールズをやりたくて、会社をつくったわけじゃなくて、いくつかあたためていたアイデアの球のなかのひとつを形にしたくて会社をつくったという感じです。
中村 お二人の会社であるブルース株式会社はいつ設立されたのですか?
野澤 2008年10月に設立しました。社名ブルースの由来は、二人とも青が好きで、調べたらブルーって商号がとれなかったんですね。で、たまたま、ブルーにSつけたらドメインがとれて。そしたら、ブルースって憂鬱って意味もあるじゃないですか。でもこれが逆にいいんじゃないかと。ちなみに、二人とも坊主だから、社名も坊主でいいんじゃない?っていう話もあったけど。
河村 憂鬱。いいじゃんって。
中村 なぜ、憂鬱なんでしょうか?
河村 憂鬱がないと、アイデア出す意味がないっていうか。憂鬱という思いから何か生まれてくるんだと思うんです。企業でいえば憂鬱って問題点という意味になると思うんですけど、個人も一人一人の問題点があると思うんです。社会で言えば、戦争してるブルースだったり、日本語で憂鬱って言っちゃうとちょっと違うけど、それを解決するために存在意義があるっていうか。商品を開発したり、モノをつくったりしていくのが、アイデア100を考えていたときの二人の原点なんだって、気づかされたんですよ。俺たちはブルースだ! ブルースが重要だ!
野澤 青「ブルー」が、憂鬱「ブルース」になって、何か自分たちのやるべきことが見えてきた気がしました。ハッピーと言わずにブルースというところもいいなと思って。
河村 知り合いの外国人に「ブルース」っていう名前の会社をつくったんだと話すと、「なんて暗い名前なんだ」って言われて、外国人にとっては、そんなに暗いのかってビックリしました。
野澤 音楽好きって思われちゃうこともあったりしますけどね。
中村 会社を設立するにあたって苦労された点を教えてください。
野澤 立ち上げまでは、法務関係など思い通りにいかなかったこともありましたけど、意外と初体験のことばかりで楽しかったですね。
河村 去年の秋はリーマンショックがあったのでタイミングも良くなかったんですね。メディアコールズでは広告スポンサーからスポンサー料をもらうだけで、電話の通信料はもらっていないんです。
野澤 みなさん、興味は持ってくれて担当者レベルでは面白がってくれるんですけど、なかなか広告を出すというところまでは難しいのが現状でした。
河村 今のメディアをどう圧縮するかが最大の課題の時期だったので、なかなか新しいメディアにチャレンジしようという考えがなかったんですね。
中村 スポンサーは広告費の割り当てを変えればいいとは、考えなかったのでしょうか?
河村 代理店とのつながりとか、いろいろあって、うまくいかないみたいですね。10億円の広告費を7億円にするっていうだけでも、企業と関わっている他の会社にとっては大惨事じゃないですか。そのせいもあって、メディアコールズも方針を少し変更することにしたんです。
中村 というと?
野澤 もともとは、国際電話なので、旅行会社や航空会社や英会話学校などに営業してきたんです。それをCMを配信するだけではなくて、自社のコスト削減に役立つようなプログラムに変えたんです。「メディアコールズ・スポンサー・プログラム」っていうんですけどね。たとえばメーカーさんでも海外に工場を持っていれば電話代は抑えたいというニーズがありますから。すると、おかげさまで問い合わせ自体は増えてきました。
河村 メディアコールズのサービスに、「広告を出す」ということのほかに、「コスト削減」というメリットを見出すことができたんです。大きな企業さんだと月何百万も国際電話をかけていますからね。メディアコールズ・スポンサー・プログラムを採用すれば、かなりコスト削減できますし。だいたい月に10万円以上かけていれば、削減になるはずです。
中村 メディア出稿ではなく、コスト削減というアピールによる温度差はありますか?
河村 そうですね、全く違います。
野澤 ブルース(憂鬱)を解決するという使命で、この会社を作ったので、やっぱり人のブルースじゃないところで言ってもダメなんですね。それを解決するためにサービスチェンジして解決していかないと。100万円かかってる会社が10万円になれば、リストラすることを防げるかもしれない。だとしたら、僕らとしてもいいことをしていると思えるし。
中村 素晴らしいですね。
河村 やってみて気づくのは、ネットと近いことです。ネットが電話に近づいたのではなくて、ネットのビジネス体系ができたから、電話もネットのビジネス体系に近づいて、サービスとして形を変えたということだと思います。ネットができたから、電話も変わったんだと思うんです。
中村 それでは、メディアコールズのサービスについて、教えてください。なぜ、0円で国際電話がかけえられるのでしょうか?
野澤 メディアコールズは、カンタンに言うとCM付無料国際電話というものなんです。
河村 国際電話って高いじゃないですか?
野澤 まずアクセス番号に電話することによってCMが流れ、それを聞くと、それから先の国際電話代が0円になるんです。つまりアクセス番号までの国内通話料金だけで国際電話ができます。
中村 もし、携帯で国際電話した場合、いくらになりますか?
野澤 携帯だと、その方が契約されている携帯電話会社の料金にしたがって、国内通話料だけがかかります。
河村 僕の携帯はソフトバンクなんですが、10.5円/1分なんです。ホワイトプラン960円。だから、メディアコールズを使えば、10.5円/1分になります。
中村 大手と比べると、どれくらいお得になるのでしょうか?
野澤 たとえば、東京にかけても、シカゴにかけても、通話料は同じになるんです。大手さんは、定価だと中国に60分かけて9,000円くらいかな? それに比べると、メディアコールズは、固定電話からかけた場合 8.5円/3分なので、60分で170円くらい。
中村 メディアコールズの強みを教えてください。
野澤 メディアコールズのいいところは安くなる以外に、登録がいらないんですね。アクセス番号に電話さえしてしまえば、基本料も申込料も、そもそも申込自体がいらないので、どんな電話からでもかけられる。固定電話もPHSでも、携帯でも公衆電話でもいいんです。誰でもいつでもどこでも、アクセス番号にかけるだけでいいんです。
中村 どの国へもかけられるのでしょうか?
河村 世界11カ国限定なので、アメリカ(本土)、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、中国(香港含む)、台湾、韓国、シンガポール、タイにかけられます。アメリカ(本土)、カナダ、中国(香港含む)、シンガポール、タイについては、相手が携帯でもつながります。日本から持っていった携帯はダメですが、現地で携帯をもっていれば使えます。
中村 CMが流れる時間は、どれくらいなのでしょうか?
野澤 どの国にかけても20秒以内です。
中村 回線は何を使っているのでしょうか?
河村 普通の電話回線です。IP回線ではありません。KVHさんのように安くて質のいいところをパートナーにしています。
中村 安全性・安定性についてはどうなのでしょうか?
河村 例えば、IPを導入すると確かに国際電話は安くかけられるのですが、インターネット回線だといろんな画像データや音楽と一緒になってしまうので、データが空いてるときはいいけど、混んでしまうとパケットがはずれてしまう。「も・・し・・もし・・」となってしまうことがあるんです。その代わり、メディアコールズは、KVHの普通電話回線。音質もいいです。
中村 NTTさんのような大手国際電話サービスとの違いを教えてください。
野澤・河村 基本は同じ仕組みだと思う。
野澤 サービスとしては、インフラ担当のKVHとシステム担当のIbattleとパートナーを組んでいます。ブルースは、主に販売窓口とコミュニケーションを担当しています。
中村 法人サービスはあるのでしょうか。
野澤 先ほど話に出た「メディアコールズ・スポンサー・プログラム」がそれです。月々73,500円で、社員全員ぶんの国際電話料金が無料になるサービスです。スポンサーになると、会社の専用のアクセス番号を提供するので、社員全員がCMなしで国内通話料金だけで国際電話がかけられるようになります。工事も設定も不要です。さらに、一般向けのメディアコールズに音声CMも流すことができます。
中村 そう考えると、この法人サービスは、企業にとってコスト削減になります。
野澤 その通りです。しかも、削減だけじゃなくて、ビジネスを活性化するためにCM流せるのもユニークです。
中村 CM制作も行っているのでしょうか?
河村 はい。凝ったものが良ければ、本業に戻って作りますよ。
中村 ありがとうございました。
■この後、実際にメディアコールズへ電話(ムービー録画有)
・CM付き0円国際電話・メディアコールズを考えた二人の人物へのインタビュー(動画)
■メディアコールズ - ブルース株式会社
中村祐介
日経BP社の記者職を経て株式会社エヌプラスを設立。ソニーやグーグル、KDDI(au)、二期リゾートなど多数の企業のマーケティングやブランディング、Web、PR、イベントなどのコンサルティングやプランニングに携わる。ビジネス書、小説、翻訳書の執筆などの創作活動を行うほか、講演活動も行う。プライベートではRIA(Rich Internet Application)コンソーシアムの運営委員や、自由大学の教授、日本冒険作家クラブに所属するなど、多種多様な活動を行い、人脈をもつ。Blog:中村祐介のコミュニケーション戦略メモ
■【中村祐介の電脳思考】をもっと読む
・iPhone 3GSは強力なビジネスツール! 動画・音声の活用が勝ち組への道?
聞き手:中村祐介(株式会社エヌプラスhttp://www.nplus-inc.co.jp/)
中村祐介(以下:中村)お二人がメディアコールズを考えついた経緯を教えてください。
野澤淳(以下:野澤)もともと同じ広告代理店にいたとき、広告の少し外側で何かできないかと二人で話していたんです。
河村寛(以下:河村)仕事が終わって、ジョナサンとかで、プレゼンしあったんですよ。普段、生きていくなかで、もっと、こういうのがあったら絶対いいよねというのを、話しあった。コメントを言ったり、ダメ出ししたり、「いいね」とか「ダメだよ」とか言いあいながら。アイデア100個、出すまで、やり続けたことがあって。
野澤 仕事に疲れたとき、追われたときに、あえてもっと追い込んでみようって。アイデアを毎日1個、出してみようと。週に1回、7個を発表しあったんです。
中村 お二人とも、忙しかったのではないですか?
野澤 ええ、わりと忙しかったです。でも、いいのを持ってこられると、くやしくて、つい頑張っちゃうものですね。
河村 少しずつレベルも上がってくるし。アイデアには、商品企画とかアート的なものとか、公告、キャンペーン企画、Webネットワークを抜本的に変える仕組みとか、身近なものじゃなくて、世界を変えるようなものまでいろいろありました。
中村 モチベーション維持の秘訣を教えてください。
野澤 競争しあうことがいいのかもしれないです。相手を驚かせたいっていう気持ちが、何かを動かすのかも。
河村 話、それますけど、僕らネーミング考えるのも好きで、止まらない。やめっていうまで。夜始めても朝までずーっとやってる。アイデアを言いあうことがやめられない。他の人には考えられない、サガかもしれません(笑)。
中村 アイデアが100個できたときは、どんな感じでしたか?
河村 肉体疲労。マラソンみたいな。
野澤 なんでも100個やってみるもんだなぁって。満足したわけじゃないですけど、100個やると何個かは深堀りできそうなのがあるんです。でも根気が必要でしたね。ある種、戦いだったから…。
河村 プレゼンしあうと、ちょうど2〜3時間。終わるのが、深夜2時くらい。
中村 そこからメディアコールズが誕生したということでしょうか。
河村 100個のなかに、いくつか光るものがありました。ひとつは「メディア〜」っていう切り口でメディア化できるもの、メディアじゃないものをメディア化するっていう。電話とは限らない。消費者がトクをするアイデアを考えていました。
中村 市場がないところで市場を創っていくということでしょうか?
河村 そうですね。別に飛びぬけたアイデアではないんですけど、まだメディア化されてないものもたくさんあるので、そこに目をつけられないかなって。
野澤 すごく素人っぽく言うと、CMのおかげでTVは見られる。だけど、ついつい忘れちゃうんですね、CMのありがたみを。飛ばしてしまうことも多くなったし。でも、よく考えると雑誌でも主な収益は広告費じゃないですか。だから無料の雑誌も成り立っている。電車だって、もし広告費でペイできるなら、もっと運賃を安くできるのかもしれない。広告って本当は役に立ってるのに、気づかなかったり、邪魔者だったりする。広告があって良かったっていうものを作れば、スポンサーにとっても、消費者にとってもいいんじゃないかって思ったんです。
中村 メディアコールズ誕生のきっかけは、そんな中から生まれたわけですね?
河村 はい。KVHというBtoBに強いインフラの会社があるのですが、そこの方と話をした時に、アイデアの話をしたらドンピシャだった。
野澤 最初は国際電話でメディアを作ろうとは思っていなかったのですが、インフラがあって、通信システムがあって、やりたいことのモデルが似てるなって思ったんです。メディアじゃないものをメディアにするという考え方は、同じだって。
河村 メディアにするものはもっと他のものを考えていたんです。例えば、トイレットペーパーとかね。他にもいろいろ可能性を探っていました。ま、その一つとして、インフラの会社と協力しあえれば、国際電話でできるなって思ったんです。国際電話って高いですし。広告のおかげ、スポンサーのおかげで安くなるって思えば、少しは感謝してくれるきっかけになるんじゃないかって。
中村 それは、いつ頃のことでしょうか?
河村 2007年の5月頃です。
野澤 二人とも普通に広告の仕事はしていたんですが、まずは場所を作ろうと言う話になり部屋を借りたんです。仕事帰りにファミレス代わりになるような。それで次に、会社を作ってプロジェクトを動かそうっていうことになって。
河村 会社作るって言っても、一からというか0からだったんで、大変でした。
野澤 でも、アイデアが形になるなら、やろうと。
河村 メディアコールズをやりたくて、会社をつくったわけじゃなくて、いくつかあたためていたアイデアの球のなかのひとつを形にしたくて会社をつくったという感じです。
中村 お二人の会社であるブルース株式会社はいつ設立されたのですか?
野澤 2008年10月に設立しました。社名ブルースの由来は、二人とも青が好きで、調べたらブルーって商号がとれなかったんですね。で、たまたま、ブルーにSつけたらドメインがとれて。そしたら、ブルースって憂鬱って意味もあるじゃないですか。でもこれが逆にいいんじゃないかと。ちなみに、二人とも坊主だから、社名も坊主でいいんじゃない?っていう話もあったけど。
河村 憂鬱。いいじゃんって。
中村 なぜ、憂鬱なんでしょうか?
河村 憂鬱がないと、アイデア出す意味がないっていうか。憂鬱という思いから何か生まれてくるんだと思うんです。企業でいえば憂鬱って問題点という意味になると思うんですけど、個人も一人一人の問題点があると思うんです。社会で言えば、戦争してるブルースだったり、日本語で憂鬱って言っちゃうとちょっと違うけど、それを解決するために存在意義があるっていうか。商品を開発したり、モノをつくったりしていくのが、アイデア100を考えていたときの二人の原点なんだって、気づかされたんですよ。俺たちはブルースだ! ブルースが重要だ!
野澤 青「ブルー」が、憂鬱「ブルース」になって、何か自分たちのやるべきことが見えてきた気がしました。ハッピーと言わずにブルースというところもいいなと思って。
河村 知り合いの外国人に「ブルース」っていう名前の会社をつくったんだと話すと、「なんて暗い名前なんだ」って言われて、外国人にとっては、そんなに暗いのかってビックリしました。
野澤 音楽好きって思われちゃうこともあったりしますけどね。
中村 会社を設立するにあたって苦労された点を教えてください。
野澤 立ち上げまでは、法務関係など思い通りにいかなかったこともありましたけど、意外と初体験のことばかりで楽しかったですね。
河村 去年の秋はリーマンショックがあったのでタイミングも良くなかったんですね。メディアコールズでは広告スポンサーからスポンサー料をもらうだけで、電話の通信料はもらっていないんです。
野澤 みなさん、興味は持ってくれて担当者レベルでは面白がってくれるんですけど、なかなか広告を出すというところまでは難しいのが現状でした。
河村 今のメディアをどう圧縮するかが最大の課題の時期だったので、なかなか新しいメディアにチャレンジしようという考えがなかったんですね。
中村 スポンサーは広告費の割り当てを変えればいいとは、考えなかったのでしょうか?
河村 代理店とのつながりとか、いろいろあって、うまくいかないみたいですね。10億円の広告費を7億円にするっていうだけでも、企業と関わっている他の会社にとっては大惨事じゃないですか。そのせいもあって、メディアコールズも方針を少し変更することにしたんです。
中村 というと?
野澤 もともとは、国際電話なので、旅行会社や航空会社や英会話学校などに営業してきたんです。それをCMを配信するだけではなくて、自社のコスト削減に役立つようなプログラムに変えたんです。「メディアコールズ・スポンサー・プログラム」っていうんですけどね。たとえばメーカーさんでも海外に工場を持っていれば電話代は抑えたいというニーズがありますから。すると、おかげさまで問い合わせ自体は増えてきました。
河村 メディアコールズのサービスに、「広告を出す」ということのほかに、「コスト削減」というメリットを見出すことができたんです。大きな企業さんだと月何百万も国際電話をかけていますからね。メディアコールズ・スポンサー・プログラムを採用すれば、かなりコスト削減できますし。だいたい月に10万円以上かけていれば、削減になるはずです。
中村 メディア出稿ではなく、コスト削減というアピールによる温度差はありますか?
河村 そうですね、全く違います。
野澤 ブルース(憂鬱)を解決するという使命で、この会社を作ったので、やっぱり人のブルースじゃないところで言ってもダメなんですね。それを解決するためにサービスチェンジして解決していかないと。100万円かかってる会社が10万円になれば、リストラすることを防げるかもしれない。だとしたら、僕らとしてもいいことをしていると思えるし。
中村 素晴らしいですね。
河村 やってみて気づくのは、ネットと近いことです。ネットが電話に近づいたのではなくて、ネットのビジネス体系ができたから、電話もネットのビジネス体系に近づいて、サービスとして形を変えたということだと思います。ネットができたから、電話も変わったんだと思うんです。
中村 それでは、メディアコールズのサービスについて、教えてください。なぜ、0円で国際電話がかけえられるのでしょうか?
野澤 メディアコールズは、カンタンに言うとCM付無料国際電話というものなんです。
河村 国際電話って高いじゃないですか?
野澤 まずアクセス番号に電話することによってCMが流れ、それを聞くと、それから先の国際電話代が0円になるんです。つまりアクセス番号までの国内通話料金だけで国際電話ができます。
中村 もし、携帯で国際電話した場合、いくらになりますか?
野澤 携帯だと、その方が契約されている携帯電話会社の料金にしたがって、国内通話料だけがかかります。
河村 僕の携帯はソフトバンクなんですが、10.5円/1分なんです。ホワイトプラン960円。だから、メディアコールズを使えば、10.5円/1分になります。
中村 大手と比べると、どれくらいお得になるのでしょうか?
野澤 たとえば、東京にかけても、シカゴにかけても、通話料は同じになるんです。大手さんは、定価だと中国に60分かけて9,000円くらいかな? それに比べると、メディアコールズは、固定電話からかけた場合 8.5円/3分なので、60分で170円くらい。
中村 メディアコールズの強みを教えてください。
野澤 メディアコールズのいいところは安くなる以外に、登録がいらないんですね。アクセス番号に電話さえしてしまえば、基本料も申込料も、そもそも申込自体がいらないので、どんな電話からでもかけられる。固定電話もPHSでも、携帯でも公衆電話でもいいんです。誰でもいつでもどこでも、アクセス番号にかけるだけでいいんです。
中村 どの国へもかけられるのでしょうか?
河村 世界11カ国限定なので、アメリカ(本土)、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、中国(香港含む)、台湾、韓国、シンガポール、タイにかけられます。アメリカ(本土)、カナダ、中国(香港含む)、シンガポール、タイについては、相手が携帯でもつながります。日本から持っていった携帯はダメですが、現地で携帯をもっていれば使えます。
中村 CMが流れる時間は、どれくらいなのでしょうか?
野澤 どの国にかけても20秒以内です。
中村 回線は何を使っているのでしょうか?
河村 普通の電話回線です。IP回線ではありません。KVHさんのように安くて質のいいところをパートナーにしています。
中村 安全性・安定性についてはどうなのでしょうか?
河村 例えば、IPを導入すると確かに国際電話は安くかけられるのですが、インターネット回線だといろんな画像データや音楽と一緒になってしまうので、データが空いてるときはいいけど、混んでしまうとパケットがはずれてしまう。「も・・し・・もし・・」となってしまうことがあるんです。その代わり、メディアコールズは、KVHの普通電話回線。音質もいいです。
中村 NTTさんのような大手国際電話サービスとの違いを教えてください。
野澤・河村 基本は同じ仕組みだと思う。
野澤 サービスとしては、インフラ担当のKVHとシステム担当のIbattleとパートナーを組んでいます。ブルースは、主に販売窓口とコミュニケーションを担当しています。
中村 法人サービスはあるのでしょうか。
野澤 先ほど話に出た「メディアコールズ・スポンサー・プログラム」がそれです。月々73,500円で、社員全員ぶんの国際電話料金が無料になるサービスです。スポンサーになると、会社の専用のアクセス番号を提供するので、社員全員がCMなしで国内通話料金だけで国際電話がかけられるようになります。工事も設定も不要です。さらに、一般向けのメディアコールズに音声CMも流すことができます。
中村 そう考えると、この法人サービスは、企業にとってコスト削減になります。
野澤 その通りです。しかも、削減だけじゃなくて、ビジネスを活性化するためにCM流せるのもユニークです。
中村 CM制作も行っているのでしょうか?
河村 はい。凝ったものが良ければ、本業に戻って作りますよ。
中村 ありがとうございました。
■この後、実際にメディアコールズへ電話(ムービー録画有)
・CM付き0円国際電話・メディアコールズを考えた二人の人物へのインタビュー(動画)
■メディアコールズ - ブルース株式会社
中村祐介
日経BP社の記者職を経て株式会社エヌプラスを設立。ソニーやグーグル、KDDI(au)、二期リゾートなど多数の企業のマーケティングやブランディング、Web、PR、イベントなどのコンサルティングやプランニングに携わる。ビジネス書、小説、翻訳書の執筆などの創作活動を行うほか、講演活動も行う。プライベートではRIA(Rich Internet Application)コンソーシアムの運営委員や、自由大学の教授、日本冒険作家クラブに所属するなど、多種多様な活動を行い、人脈をもつ。Blog:中村祐介のコミュニケーション戦略メモ
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