パン・ギムン事務総長、沈黙は禁物!?
一部では「民間人の保護だけに没頭」と反発
国連のパン・ギムン事務総長による「物静かなリーダーシップ」スタイルが国際社会で問題となっている。
5年任期の半分を終えたばかりのパン事務総長に対して最近、欧米のマスコミが批判を強めている。その理由は、腰をかがめて独裁者たちと対話を行うスタイルだ。つまり、国連事務総長は道徳的権威を持って独裁者たちと渡り合わねばならないにもかかわらず、パン事務総長のスタイルはこのような国連事務総長の職務とは根本的に相いれないということだ。国際紛争への介入が常に遅すぎることも、非難を受ける理由の一つだ。パン事務総長のリーダーシップ問題は、最終的に「再任に値する人物かどうか」を判断する材料となるだけに注目が集まる。
ワシントン・ポスト紙は1日付1面に、「独裁者に対する物静かな外交が不協和音を呼び起こす」という見出しの記事を掲載した。その内容は「パン事務総長は独裁者による残酷な行為に対して沈黙することが多く、そのため国連を醜悪な妥協の舞台にしてしまったという非難に直面している」というものだ。パン事務総長はミャンマー軍事政権トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長、ダルフールでの民間人虐殺容疑で国際刑事裁判所に起訴されたスーダンのオマル・アル・バシール大統領、内戦中に民間人を無差別に殺傷したとして非難を浴びているスリランカのラジャパクサ大統領らと会ったが、特別な成果は得られなかっただけでなく、逆に国連事務総長の権威をおとしめたというわけだ。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのケネス・ロス事務総長は、「パン事務総長のイメージは、主に独裁者たちと席を共にしているというものだが、だからといって得たものは何もない」と激しく非難している。
同紙だけではない。「パン事務総長は再選を望んでいるが、一部ではそのような資格があるのか疑いの目が向けられている」(エコノミスト誌)、「米国の機嫌をうかがうだけの最も危険な韓国人」(フォーリンポリシー誌)、「国連では会うことのできない人物」(ウォールストリート・ジャーナル紙)など、数々の批判を浴びている。とりわけ今年7月初めには多くの批判を浴びながらもミャンマーを訪問し、軍事政権トップのタン・シュエ議長に会った。しかしアウン・サン・スー・チー氏を解放させるどころか、面会さえできなかったことで、批判はさらに強まった。
ノルウェーのモナ・ユル国連次席大使は本国に提出した報告書で、「パン事務総長はスリランカやミャンマーなどで起こった国際紛争にしっかりと対処できなかった。決断力がなく、カリスマ性に欠ける指導者だ」と激しく非難した。
しかしパン事務総長は、これらの非難は公平ではないと反論している。パン事務総長は派手な修辞を並べ立てる政治家ではなく、実際に仕事を行う「外交官」のような国連事務総長が必要と主張する。パン事務総長は昨年5月にミャンマーの軍事政権を説得し、50万人に上るとされるサイクロン被災者に対する救援を行い、2007年にはスーダンのオマル・アル・バシール大統領に圧力を加え、国連平和維持軍のダルフール駐屯に同意させた。英国のソワーズ国連大使は「スリランカ内戦当時にパン事務総長は米国、中国、ロシア、インド、欧州各国などどこの国の政府よりも、民間人保護のために積極的に動いた」と評価している。
パン事務総長は今も国連で最も影響力のある米国、中国、英国などの強大国から支持を受けている。しかしそのリーダーシップに対する見方と再任に関しては、残り半分の任期中にいかに具体的な成果を引き出すかに左右されそうだ。
ニューヨーク=朴宗世(パク・ジョンセ)特派員
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