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3党連立「ガラス細工の結束」 外交・安保で隔たり/国会事情優先

9月1日7時56分配信 産経新聞

 民主党は31日、社民、国民新両党に連立協議を申し入れ、民主党を中心とした政権づくりを加速させた。3党は衆院選前に消費税率据え置きなどの景気対策や社会保障などの共通政策で合意しており、協議はスムーズに進むとみられる。ただ、外交・安保政策など隔たりが大きいテーマは先送りしており、協議が本格化すれば3党間の連携に亀裂が入る可能性もある。(松本浩史)

 「違いがなければ、一つの政党になればいい。議論に議論を重ねていけば、決して乗り越えられないハードルではない。そんなに心配していない」

 民主党の鳩山由紀夫代表は31日朝、都内の自宅で報道各社のインタビューに応じ、連立協議の行方に自信を示した。だが、鳩山氏の楽観的な発言は、外交・安保政策で踏み込んだ議論になれば収拾がつかなくなる懸念との背中合わせだ。

 特に、社民党の外交・安保政策とは「水と油」(民主党幹部)との見方が支配的だ。社民党は海上自衛隊によるインド洋での給油活動について、即時撤退を主張してきた。鳩山氏が来年1月の期限切れまで活動継続の方針を示した際、福島瑞穂党首は「方針を変えていいわけがない。ぶれるのはおかしい」と厳しく批判した経緯がある。

 また、米国との自由貿易協定(FTA)に関し、民主党がマニフェスト(政権公約)で、いったんは「締結」と表記した際も「農林水産業が壊れる」との異論を表明し、民主党に揺さぶりをかけた。民主党が掲げた衆院比例代表の80議席の削減に対しても連立協議で反対を表明する考えだ。

 国民新党とは、郵政民営化の見直し問題について深い溝がある。

 見直しを重視する国民新党に対し、民主党には「時計の針を逆回転させるような郵便など3事業一体化は国民に理解されない」(若手)との声があり、3党間協議で連立政権の足並みが乱れる可能性もある。

 ではなぜ、308議席を獲得した民主党が、政策の違いに目をつぶってまで少数政党の両党と連立を組まねばならないのか。

 民主党だけでは参院で過半数に届かないという事情がある。衆院でも民主、社民、国民新3党では参院で法案が否決された場合、衆院で再可決できる320議席には達していない。自民党が両党の切り崩し工作に出れば、綱渡りの国会運営を余儀なくされるのだ。

 連立に走る3党には、社会保障政策などで腹合わせができれば、外交・安保政策は政権の求心力で乗り越えられる−。3党間に、こうした思惑が働いたのは間違いない。

 一方、社民、国民新両党にとって、連立政権への参加は党の存亡がかかっている。31日の議員総会で、衆院選で落選した綿貫民輔代表の後任に亀井静香代表代行が就くことを決めた国民新党は、幹事長空席という「異常事態」で連立協議に入ることになり、埋没への警戒感は強い。

 ある民主党幹部は政権運営の危うさを指摘する。

 「ガラス細工の結束だ。筋目(すじめ)に斧(おの)が入れば、あっという間に政権は崩壊する」

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最終更新:9月1日7時56分

産経新聞

 

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