ここから本文エリア ひと模様
南極環境 新手法で分析/浅野比さん2009年05月25日
日本から南へ1万4千キロにある南極大陸。その調査拠点である昭和基地に1年間住み込み、観測データを集める南極観測隊の第49次越冬隊に選ばれた。07年11月現地に入り、今年2月に帰国した。 岐阜県生まれ。テレビドラマの「西部警察」がはやった子どもの頃は刑事になりたかったが、群馬大工学部に進み、鉄鋼中の微量成分を研究。教員を志すようになり、山陽小野田市の山口東京理科大で働き始め、今は助教だ。 隊員になるきっかけは、国立極地研究所から隊員探しの要請を受けていた教授の誘いだった。オーストラリアへ飛行機で向かい、観測船「しらせ」で南極へ。だが、現地はまだ夏。ところどころ雪は解け、半袖で出迎えた第48次の隊員たちに度肝を抜かれた。 主な任務は大気中のチリやホコリの成分を調べること。観測用に風船を飛ばす従来の手法ではなく、無線操縦装置を使う新手法を取り入れ、今回、世界で初めて成功した。「たまたま子どもの頃に無線操縦で遊んだ隊員がいて。それがうまくいった」と笑う。 基地に置き去りにされた樺太犬のタロとジロの生存が確認されて半世紀。今では、環境保全のため生き物の持ち込みは許されず、ゴミも17種類に分別する徹底ぶりだ。氷が解けていることを裏付けるデータを見て「環境問題は何とかしないと」とも感じた。 基地を離れるときには「寂しくもあり、うれしくもあり」。仕事は続けたいが、出発前に家族が1人増えたばかり。また現地調査を要請される可能性もある。「また行きたいですね。でも、家族とも相談しないといけないけど」
マイタウン山口
|