新型インフルエンザの影響で、消毒液やマスクが品薄となった売り場=2日、名古屋市内のドラッグストアで
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新型インフルエンザが流行期に入り、各地の薬局でマスクだけでなくアルコール消毒液も品薄になっている。メーカーは工場をフル稼働して生産するが、注文に追いつかない状態。新学期を迎えた学校は入荷待ちの状況にやきもきしている。厚生労働省は「消毒液がなくても、うがいや手洗いで予防を」と呼びかけている。
名古屋市千種区のドラッグストアでは、消毒液の棚だけ商品が置かれていない。「8月20日ごろから品切れ状態」と同店次長(24)。棚の前では区内に住む女性(56)が「消毒液を買ってはあるが、残り少ないので心配」と不安そうだ。
全国に484店舗を持つスギ薬局(愛知県安城市)は、8月中旬に新型インフルエンザの死者が出てから、消毒液の売り上げが前年比で40倍に伸びた。東海3県で109店舗展開のスギヤマ薬品(名古屋市千種区)も、同市で死者が出た同19日以降、売り上げがそれまでの10日間に比べて3・5倍に増えた。
メーカーは生産に躍起だ。最大手の健栄製薬(大阪市)は「お盆明けからの2週間で1年分の注文があった」。冬の流行に備え11月から増産する計画だったが、予想よりも早く流行期が到来。今は納品まで最低2カ月かかるという。
商品の写真が新聞などに載ったアルボース(同市)の黒川雅司開発部長は「例年の10倍以上製造している。社業58年でこれほど注文が舞い込んだことはない」と驚く。
品薄状態に、各学校は戸惑っている。1147人の児童が通学する名古屋市西山小(名東区)は8月末、業者に消毒液を注文したが「1カ月かかる」と言われた。苦肉の策として、注射時に使う医療用エタノールの代用も考えている。
同市江西小(西区)が手に入れた消毒液は注文した半分の5本。残りが届くのは1カ月先で、「手洗いうがいを徹底して、ひとまず5本で予防に努めたい」と話している。
厚労省新型インフルエンザ対策推進本部は「消毒液がなければ予防できないわけではない。うがいや手洗いの徹底を」としている。
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