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医療新世紀
2009.09.02

◎子ども向け用量を明確化
 厚労省が検討会議で作業 

 子どもの病気の治療に必要な薬なのに、子ども向けの用法、用量や安全性が明らかにされていないものがある。成人に関する開発段階の治験データしかないことが背景にあり、厚生労働省はこうした問題を解消しようと専門家による検討会議を設置。使用方法などを説明する添付文書の改定を製薬会社に促し、医療現場に示す作業を進めている。
 国内で承認されている薬の多くが、成人を対象にした治験のデータを基に製造販売を認められている。子どもへの使用については添付文書に「安全性は確立していない」「必要最小限の使用にとどめ、慎重に投与すること」などと書かれるにとどまり、使用しても安全なのかや、適正な使用量はあいまいなケースが多い。
 2006年3月に設置された検討会議が早い段階で取り上げたのがアセトアミノフェン。成人同様、子どもの発熱や痛みのごく一般的な薬として長年使用されてきたが、粉末や錠剤のタイプでは子ども向けの用量が示されておらず、認められた効能も「解熱」だけで「鎮痛」は含まれていなかった。
 欧米4カ国での承認状況、国内外の論文やデータを基に検討した結果、使用方法について「体重1キロ当たり1回10~15ミリグラム。使用間隔は4~6時間」などの用法用量で「乳児、幼児、小児において適切な解熱、鎮痛を得ることができる」と明確にする報告書が06年12月にまとめられた。
 「この薬は使用頻度が高い半面、医師によって使用量が少なすぎたり多すぎたりする場合があった。標準的な用量を示せたことで、医師も安心して効果的に使えるようになったのではないか」と、関係者は説明する。
 会議は、関係学会の意見を基に6種類の薬についてほぼ検討を終え、アセトアミノフェンを含む3種類について既に添付文書を改定した。
 この問題に詳しい専門家は「現場の立場からすれば、治験が行われていないのは危険と言わざるを得ない」と指摘。
 米国では、小児の治験を実施した製薬企業に新規医薬品の特許権延長を認めるなどの優遇制度を設けており、今後開発される薬で小児の治験を促すためには、同様の制度が国内でも必要だとしている。(2009/09/08)