2009年9月3日2時7分
【ナイロビ=古谷祐伸】無政府状態のアフリカ東部ソマリアで、イスラム系武装勢力が、住民の金歯や銀歯を引き抜く事例が相次いでいる。武装勢力によるイスラムの独自解釈では、金銀の歯は禁止されているのだという。
ロイター通信によると、厳格なイスラム法の適用を掲げ、国際テロ組織アルカイダとの関係も指摘される急進的な武装勢力「シャバブ」が、実効支配する南部で最近始めた。金や銀を使った義歯がシャバブに見つかると、マスクをした「医者」と呼ばれる男のもとへ連行され、義歯ごとペンチや手で引き抜かれる。
首都モガディシオの南方にある町メルカで、銀歯を抜かれた住民男性は「罪になるなんて思わなかった。医者の部屋には何人もの住民が集められていた」と話した。
イスラムに金歯や銀歯を禁止する明確な決まりはない。アラブの町では金銀を扱う市場は盛況でもある。シャバブは、6〜7世紀に生きた預言者ムハンマドの言動に近づこうとする考え方の中で、当時は存在しなかったであろう金歯や銀歯を否定する解釈を作り出したと見られる。
また、シャバブは内部分裂が進んでいるとされ、資金を確保するために義歯の金や銀を狙うグループが出てきた可能性もある。