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【社会】都議15人、公費で派遣 IOC総会 1500万円 民主議長が団長2009年9月3日 朝刊 二〇一六年夏季五輪の開催地を決める十月二日の国際オリンピック委員会(IOC)総会に合わせて、開催地のコペンハーゲンに、民主党が第一党になった東京都議会が議員十五人を派遣する。団体で渡航、現地の決起集会などに参加することで「東京の熱意を示す」のが目的という。ただ、「にぎやかし」(都議)に千五百万円以上が公費から支出されることになりそうで、「民主が第一党になっても何も変わらないのか」との声があがっている。 派遣団は、七月の都議選後に新議長となった田中良氏(民主)を団長に、民主七人、自民五人、公明三人の計十五人。八月三十一日に五輪招致委員会の会長でもある石原慎太郎知事から議長に「現地における支援」を求める依頼があり、主要会派が協議。会派勢力順に派遣人数を割り当てた。共産と生活者ネット・みらいは辞退した。 日程は今月二十九日〜十月四日の四泊六日。IOC総会には一部が参加する方向で調整しているが、大半は会場外の別室で知事の演説や開催都市決定の投票を見守る。総会前の招致イベント参加などが主な“仕事”だ。 議会局によると費用は調整中だが、飛行機はビジネスクラスを予定、滞在費を含めて一人約百万円かかるとみられる。過去三年以内に海外渡航歴がない議員には、都議会規則で「支度料」が支給される。派遣が予定されている仮メンバーでは九人がこの対象で、計約五十万円が支払われる。議会局職員二人も随行し、総費用はさらに膨らむ見通しだ。 田中議長は「都議会として招致決議をしており、現地派遣は機運を高めるために必要だ」と話す。これに対し、共産と生活者ネット・みらいは「議長や会派代表者ら少人数で行くならば、まだ理解できるが、この経済状況の中でイベントに参加するためだけに、大金をかけて大人数で行く必要はない」と指摘。「有権者に批判されるかもしれない」と話す主要会派の議員もいる。 ◆評価報告書 東京、課題浮き彫りIOCが二日、公表した立候補四都市の評価報告書。開催計画に自信を持つ東京にとって、予想しなかった指摘も。開催都市決定までの残り一カ月で、投票権を持つ約百人のIOC委員に対し、指摘された課題面を解消する働き掛けが必要になった。 〇八年夏季五輪に立候補した大阪は、報告書で輸送計画や財政に強い懸念が示され、投票の前に脱落が決定づけられた。当時、大阪の招致委員会で参与を務めた原田宗彦・早大スポーツ科学学術院教授は「思ったより厳しい表現があった。ただ大阪ほどではないので、希望を捨てる必要はない」と印象を語った。 指摘されたのは五輪スタジアム周辺の交通や選手村の用地面積などについてで、原田教授は「致命傷ではない。今後の説明次第で解決は可能だろう」と分析。しかし、東京だけが指摘を受けた世論支持率の低さについては「取り返しがつかない。最終プレゼンテーションで二月のIOC調査以降に行った独自調査では、支持率が上がっていることを強調するしかない」とした。 四都市についてはいずれもマイナス面の指摘があったが、表現には濃淡もある。IOC委員が報告書を読んだ際、「リオデジャネイロにいちばんいい印象を持つだろう。その次に東京、マドリードが並び、予想外だったが、シカゴはもっとも厳しいか」と原田教授。南米初の五輪開催という大義名分を持つリオがIOCの“お墨付き”も得て、より強力なライバルとして存在感を増したといえそうだ。 (栗田晃) ◆論外の無駄遣い自治体や議会の公費の使途などを監視している東京・市民オンブズマンの清水勉弁護士の話 にぎやかしに公費を使うなど、論外で無駄遣い。生活苦にさらされている人たちへの想像力があれば、違和感を感じるはずだ。 総選挙で民主党は「生活が第一」を掲げていたが、都議会は違うのか、と言いたい。同じ五輪関係で使うならば、東京招致に疑問を持つ都民への説明会を開くなどするべきではないか。
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