数年前に警官訪問　米・１８年間監禁　裏庭調査せず

　【ニューヨーク＝松尾理也】米カリフォルニア州北部の住宅の裏庭に１８年間にわたって女性（２９）が監禁されていた事件で、地元コントラコスタ郡警察は２８日、過去に近所の住民からの通報を受け容疑者宅を訪問していたにもかかわらず、裏庭をあらためずに立ち去っていたことを明らかにした。同警察は「あってはならないことが起きてしまった」と謝罪した。

　同警察の会見によると、通報があったのは「数年前」で、女性を監禁していたフィリップ・ガリド容疑者（５８）を「精神的に異常」と指摘した上で、容疑者宅の裏庭にテントがあり、子供たちがそこで暮らしているようだと告げたという。

　しかし、容疑者宅を訪れた警官は、屋外で生活することは条例違反と告げただけで、裏庭を確認したいと要請することもなく、そのまま立ち去った。同警察は「もっと敏感に反応すべきだった」と、調査が不十分だったことを謝罪した。

　女性は監禁後しばらくは１人でこの裏庭で生活し、現在１５歳と１１歳になるガリド容疑者の子供を出産してからは、子供たちと暮らしていたという。

　一方、現場に隣接するピッツバーグ市の警察当局は同日、未解決の殺人事件に関与した容疑でガリド容疑者宅の捜索を始めた。ＡＰ通信によると、ガリド容疑者が働いていた工業団地付近では、１９９０年代に起きた連続殺人事件での遺体数体が発見されているという。