「大相撲秋場所」(13日初日、両国国技館)
大相撲の横綱朝青龍(28)=高砂=が1日、秋場所へ向け、墨田区内の高砂部屋で本格的なけいこを始めた。師匠の高砂親方(53)=元大関朝潮=から直接、技術指導を受け、師弟がお互いを褒め合う充実した内容となった。意思疎通が疑問視される“お騒がせ師弟”が二人三脚で復活優勝を目指す。
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朝げいこも終わろうというころ、高砂親方が動いた。「ショーリュー」と朝青龍を呼び寄せ、目の前にそんきょの姿勢で座らせた。「頭から当たって中に入るようにしろ。力を入れすぎるな」。短い言葉ではあったが、放任主義の高砂親方としては珍しい技術指導だった。
けいこ中には「立ち合いで声を出すな」、「早く攻めろ」と、ことあるごとに声をかけた。報道陣に横綱の調子を問われても「絶好調だよ」と絶賛。朝青龍も素直に受け入れるどころか、「長い間(相撲を)見ている人は違うな。親方からアドバイスを聞いて、(けいこを)やるよ」と師匠を持ち上げた。
2年前の解離性障害騒動の際には意思疎通の不足を指摘された。昨年の名古屋場所では高砂親方が出場を明言した後に、朝青龍が途中休場を宣言したこともあった。コミュニケーション不足が最大のネックだった師弟関係が修復され始めているのだろうか。
通常の相撲担当記者だけではなく、NHKの「サンデースポーツ」でキャスターを務める元プロ野球投手の与田剛氏が取材に訪れたことに触発された可能性もある。テレビカメラがけいこの一部始終を撮影する中、朝赤龍と合計8番取り、ぶつかりげいこでも積極的に胸を出した。
けいこ初日からの好スタートに「よくやれたという感じ。気持ち的に少しずつやる」と手応えをつかんだ様子。4日に行われる横綱審議委員会によるけいこ総見にも「出るつもりでやっている」と前向きだった。普通なら“当たり前”の師弟タッグだが、朝青龍にとっては何よりの追い風かもしれない。