2009年9月1日22時30分
衆院選の結果を受け、朝日新聞社が31、1日に実施した緊急の全国世論調査(電話)によると、民主党中心の新政権に「期待する」と答えた人が74%に達した。「期待しない」は17%。一方で、民主党政権が日本の政治を「大きく変えることができる」とみる人は32%で、「できない」の46%を下回った。
政権交代が起きて「よかった」とする意見は69%、「よくなかった」は10%。衆院選比例区で自民党に投票したと答えた人の中でも46%が「よかった」と答えた。
民主党が300議席を超えて大勝したことに対しては、「よかった」が全体の54%で、「よくなかった」は25%。政権交代への評価に比べて好意的な受け止めが減る。
民主党大勝の要因については、「有権者の政権交代願望が大きな理由か」という問いに81%が「そう思う」と答え、「政策への支持が大きな理由か」との問いには「そう思う」が38%にとどまった。
民主政権は日本の政治を「大きく変えることはできない」とみる意見は、新政権に期待する人の中でも37%、選挙で民主に投票したとする人の中でも31%いた。
全体として、政権交代を歓迎しつつも、民主党の政策や力量には懐疑的な意見も少なくないことがみてとれる。
新首相になることが確実な鳩山代表については、「期待する」が63%、「期待しない」が29%だった。
野党に転落する自民党について、民主党に対抗する政党として立ち直ってほしいかどうかを聞いたところ、「立ち直ってほしい」が76%を占め、「そうは思わない」は17%止まり。自民党に「ノー」を突きつけた選挙結果だったが、巨大議席の民主党に対抗する自民党への期待を示す数字といえそうだ。
政党支持率では、民主が39%と、07年参院選直後の34%を上回り、過去最高となった。自民は22%だった。
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朝日新聞の全国世論調査で、民主党の新政権への期待が高い一方で、具体的な政策になると依然厳しい目が注がれていることがわかった。
1人月2万6千円の子ども手当を支給して所得税の配偶者控除などを廃止することに賛成は31%で、反対は49%。衆院選比例区で民主に投票した人の中でも反対が37%(賛成43%)いた。他の政党に投票した人では反対がおおむね5〜6割を占めた。
高速道路を無料化して建設の借金は税金で返済することについては、賛成は20%にとどまり、反対が65%とかなり評判が悪い。民主党に投票した人でも56%が反対だ。
この二つの政策について、総選挙の公示直前に公約としての評価を聞いた際には、子ども手当を「評価する」33%、「評価しない」55%、高速道路無料化を「評価する」23%、「評価しない」67%だった。選挙戦を通じてのアピールにもかかわらず、有権者に理解されていないことがうかがわれる。
「有権者が政策を支持したことが民主大勝の理由」とみる38%を「そうは思わない」52%が上回った。政策がお墨付きを得たとはいいがたく、今後、国民に政策の意味をどう説明していくかが大きな課題となる。
惨敗した自民党へも、期待の目はある。民主党に対抗する政党として「立ち直ってほしい」は76%と、大半が再生を求めている。比例区で民主党に投票した人も同じ76%が「立ち直ってほしい」と答え、代わりうる政党の必要性を認めているようだ。
一方で、自民党に投票した人の約半数が今回の政権交代を肯定的に受け止めたり、民主党政権に期待を寄せたりしており、現状の自民党では敗れても仕方がないと思う支持者が少なくないことをうかがわせる。どう変われるかが、自民党の課題といえそうだ。