2009年9月2日18時28分
議員が落選し、事務所の資料を段ボール箱に詰める秘書たち=1日、東京・永田町の衆院議員会館、野村雅俊撮影
議員が落選し、事務所を整理しながら支援者の電話に応対する秘書=1日、東京・永田町の衆院議員会館、野村雅俊撮影
勢力図が大きく変わった衆議院。今後の身の振り方が心配なのは、議員だけでなく、多くの秘書たちも同じだ。大敗を喫した自民党の秘書は職探しに追われる。一気に議員が増えた民主党は秘書が足りない。自民から民主に「移籍」が進むとの見方もあるが、求められる秘書の仕事には違いもあるようだ。
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福岡9区で議席を失った自民党の三原朝彦氏の公設秘書、中村正義さん(54)は、選挙後、支援者へのおわびやお礼回りに追われている。
22歳で秘書に。衆院議員数人の秘書を歴任し、三原氏の秘書は6年間務めてきた。308議席を獲得した民主は、4年間政権を維持するとみる。「その間どうやって生活していくか」。妻(44)と大学3年、高校3年の子どもがいる。「今は悔しさだけで、2人の君主に仕えるなんて考えられない」
自民党は今回の衆院選で解散前より181議席も減らした。国会議員は公費で3人まで公設秘書を雇うほか、私設秘書も雇っており、単純計算で数百人規模の秘書が職を失うことになる。
自民党本部の担当者は、秘書の再就職先のあっせんについて、「党として対応できかねる」と話す。「議員と再起を図る秘書もいるだろうし、生活のために民主議員の事務所に移る秘書も出てくると思う。個人の判断に任せるしかない」という。
一方、民主党は解散時より193議席も増えた。今回初当選した議員の公設秘書になる男性(38)は「特に政治経験のない新顔の議員は秘書探しに苦労しているのではないか」と話す。秘書を探す時には政界を中心に人脈を頼ることが多いが、新顔は、そのつてがないからだ。
衆議院民主党秘書会によると、会には現在、約450人が会員登録している。議員増で政策秘書が足りなくなることが考えられるという。「議員らから要望があれば、党本部と相談したうえで、様々なつてを使って紹介していきたい」と話した。