2009年9月2日18時28分
議員が落選し、事務所の資料を段ボール箱に詰める秘書たち=1日、東京・永田町の衆院議員会館、野村雅俊撮影
議員が落選し、事務所を整理しながら支援者の電話に応対する秘書=1日、東京・永田町の衆院議員会館、野村雅俊撮影
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前回05年衆院選は自民党が296議席を獲得し、民主党は大敗した。自民党の秘書不足が懸念されたが、武部勤幹事長(当時)名で80人余の新顔議員に「秘書は旧来の秘書経験者より、未経験者の採用など新しいあり方が望ましい」とする通達を送った。
情報が漏れるのを防ぐのが目的だったとされる。秘書経験者によると、職を失った民主党の秘書を採用した事務所はみられず、企業が出してきた秘書を採ったケースが多かったという。
しかし、そもそも自民党と民主党で求められる秘書像には違いがあるようだ。
約30年間、自民党議員秘書を務めた経験がある60代男性は「自民党秘書の仕事は、公共事業などの利権を企業に約束して選挙での協力を依頼すること」と振り返る。「一方、民主党秘書は街頭演説の仕方から拠点作りまで戦術を学び、無党派層に訴える作戦を練る」という。
そのうえで「自民党の秘書が浪人する今回は、民主党にとって企業に広い顔を持つ秘書を持つ契機になるかもしれない。民主党に秘書を送り込む好機とみている企業もある」と話した。
別の秘書経験者も「自民と民主で仕事は違う」と指摘する。これまでの自民党秘書は地縁血縁を原動力に冠婚葬祭にいち早く対応する一方、民主党秘書は演説の草稿作りなどが主な仕事という。ただ、「政権交代で変わった永田町なら、秘書の役割も変わってくるのではないか」とも話している。
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衆議院議員課によると、国会議員は3人まで「公設秘書」を雇える。公費で支払われる年間の給与は、経験年数や職種に応じて500万〜1千万円程度になる。政党を問わず、議員の事務所を移ることに法律上の制限はない。