富士見村(現・前橋市富士見町)の赤城山中で昨年四月、昭和村の飲食店店員加藤優さん=当時(24)=が遺体で見つかった事件で、強盗殺人と死体遺棄の罪に問われた知人で、当時、沼田市に住んでいた元飲食店店員金子茜被告(23)の初公判が五日、前橋地裁(倉沢千巌裁判長)であった。
金子被告は罪状認否で、殺人と死体遺棄については「間違いありません」と認めた。しかし、強盗については「お金が欲しくて事件を起こしたわけではありません」と述べ、共犯とされる知人の少年=強盗殺人罪などで懲役五年以上十年以下の不定期刑が確定=と事前に共謀して金品を奪う意思はなかったと主張した。
検察側の冒頭陳述などによると、金子被告は二〇〇七年十二月、夫と交際していた加藤さんが飲食店に出勤する際、「夫のことで話がある」と声を掛けて車に誘い込み、少年が車内で加藤さんの首を絞めて殺害。加藤さんの携帯電話や現金二万円などを奪い、遺体を赤城山中に遺棄したとされる。
弁護側は、金品については殺害後に取る意思が生じたもので、強盗には当たらないと反論した。
金子被告は昨年六月に起訴された後、検察官、弁護人、裁判官が十一回の公判前整理手続きで争点などを絞り込んだ。公判は短期間で集中審理し、被告人質問などを経て今月十日に検察が求刑、来月二日に判決が言い渡される。
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