(英エコノミスト誌 2009年8月29日号)
日本のソーラーパネルメーカーは、現在の供給過剰を乗り切るうえで、いい位置につけている。
新タイプのサンルーフ(写真はハイブリッド車の屋根に設置された太陽電池パネル)〔AFPBB News〕
5年前まで、日本は世界の太陽電池の約半分を作っていた。国産エネルギーが強く求められていたことと、コンピューターのチップや薄型テレビ向けパネルといった関連分野に強かったことがその理由だ。
1社でこれまでに生産されたすべての太陽電池の実に4分の1を作ったシャープが業界を支配していた。
しかし、太陽エネルギー技術が成熟し、需要が高まるに従い、中国や台湾を中心に新興企業が台頭し、その煽りで日本企業の市場シェアは20%前後まで落ち込んだ。2008年には、シャープは生産量の世界ランキングで4位にまで転落した。1位はドイツのQセルズ、2位は米国のファースト・ソーラー、3位は中国のサンテックパワー(尚徳太陽能電力)だ。
ここ数年、世界中でソーラーパネル工場が急増している。背景には、太陽エネルギーへの助成や融資が世界経済と足並みを揃えて成長し続けるとの思惑があった。中国メーカーは2004年から2008年にかけて市場シェアを6倍に伸ばし、世界市場の3分の1以上を手中に収めた。
その結果、太陽エネルギー分野における日本の優位も、結局日本がアジアのライバルに覇権を奪われることになったコンピューターチップやテレビ用パネルと同じ道をたどるのではないかとの懸念が生じた。
日本企業は同じ命運を避けるべく、技術の改良やビジネスモデルの見直しに注力してきた。太陽エネルギーを推進する非営利団体プロメテウス・インスティチュートのトラビス・ブラッドフォード所長によると、日本企業の製品は最も高性能で、ブランドの知名度も高く、バランスシートも健全だという。
世界市場は生産能力の半分に落ち込む
こうした要素のおかげで、日本企業は現在の供給過剰の最中でも最悪の事態を免れるはずだ。2009年、太陽エネルギー業界全体の販売は7000メガワット以下にとどまると予想されている。これは全世界の生産能力の約半分に相当する数字だ。
経済危機によっていくつもの大型プロジェクトが中止され、ドイツやスペインでは太陽エネルギーへの助成金が縮小されている。
供給過剰を受けて、ソーラーパネルの価格は2009年に入ってから40%以上も下落した。ガイア・コンサルティングのジョー・ボイス氏は、最近次々と建てられたアジアの工場の操業率は生産能力の40%程度にとどまっており、大規模な淘汰が見込まれると説明する。
次ページは・・・ しかし、その中で日本メーカーは守られている。欧州企業よりは製造コストを抑えられる一方で、中国企業より優れた技術を持っているからだ。また・・・