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禁止区域で釣り、横行 横浜港周辺、すでに57人摘発

8月19日7時56分配信 産経新聞

禁止区域で釣り、横行 横浜港周辺、すでに57人摘発
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「立入禁止」の看板が設置された防波堤に侵入し、釣りをする悪質な釣り人が後を絶たない=横浜市中区(写真:産経新聞)
 ■やまぬ“確信犯” 転落死の恐れも

 横浜港の埠頭(ふとう)の防波堤や横浜ベイブリッジの橋脚など、立ち入り禁止区域で釣りをする人が軽犯罪法違反(禁止場所への立ち入り)で大量に摘発されていることが、神奈川県警への取材で分かった。インターネットなどで「穴場」として広まり、県外から訪れて違反する人も。埼玉県内の池でも同様の違反が続いており、警察は「危険で事故に巻き込まれる」と注意を呼びかけるが、違反と認識しつつも後を絶たない。釣り愛好団体は「一部の行為が楽しい釣りのイメージを台無しにする」と頭を悩ませている。(今仲信博)

  [フォト]埼玉の池でも釣り人“暴挙”

 本牧ふ頭にある防波堤。フェンスを乗り越えて立ち入り禁止区域で釣りをしていた東京都東久留米市の男性会社員(46)ら2人が今年5月、摘発された。2人は「入っちゃいけないのは知っていたが、よく釣れるので入った」と話したという。横浜水上署によると、同様の釣り人の摘発は昨年、88人に上った。ネットの掲示板や口コミで「穴場」として広まって数年前から増え始め、今年は7月までに57人と昨年同期(35人)を大幅に上回るペースとなっている。

 幅約2メートルの防波堤は、高さがあるため満潮でも沈まないが、転落すれば防波堤に上がるのは難しい。船舶通過時には、波も押し寄せる。かつて釣り客が海に落ち、数日後に遺体でみつかることもあった。危険と隣り合わせだが、クロダイを狙って「人がいない場所の方が大物が釣れる」と、立ち入り禁止区域に入る多くの人々はいわば“確信犯”だ。

 横浜水上署はパトロール強化の一方、港湾管理者に「立入禁止」看板の設置を依頼。横浜市港湾局は防波堤に、首都高速道路は横浜ベイブリッジなどの橋脚に看板を設置した。だが、わざわざ渡し船で橋脚に行き、「禁止」の看板には目もくれずに釣りをする人が続いている。

 埼玉県寄居町では、ため池で同様の違反が相次ぎ、昨年は約40人、今年は6月末時点で20人以上が寄居署に摘発された。悪びれずにフェンスを乗り越える若者の姿が影響してか、子供が池に落ちて命を落とす事例も複数あるという。

 釣具店などでつくる「日本釣振興会」関東地区支部も、こうした問題に頭を抱えている。啓発ポスターを釣具店に配ったり親子釣り教室で呼びかけたりしているが、同振興会が行うイベントでも「注意を無視して禁止区域内で釣りを続ける悪質な人もいた」という。

 テロ対策の一環となる平成16年の海上人命安全条約(SOLAS条約)改正で大型港湾の立ち入り規制が強化され、釣り場の減少につながっている、との指摘もあるが、同支部は「一部のマナー悪化は余計な規制強化につながりかねない。残念なことで、事故につながらないよう啓発に取り組むしかない」としている。

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最終更新:8月19日10時38分

産経新聞

 

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