問題山積! 消費者庁“迷走”行列の住田弁護士も辞退

2009.09.01


野田聖子消費者行政担当相(右)が期待した住田裕子弁護士は消費者委員会委員を辞退した【拡大】

 民主党の総選挙圧勝の余波で、自公政権が1日に発足させた消費者庁が大混乱の船出となっている。元検事で“行列女性弁護士”の住田裕子氏(58)が同庁を監視する「消費者委員会」の委員を辞退していたことが判明。役人出身の初代長官や、年間家賃8億円の豪華庁舎に民主党は猛反発しており、大きく見直される可能性がある。

 消費者庁は消費者問題について一元的に取り扱う新しい中央官庁。中国の毒ギョーザ事件や食品の産地偽装、湯沸かし器やエレベーター事故などが相次いだことを受け、福田康夫前首相が創設を表明し、今年5月に関連法が成立した。

 消費者庁を監視する機関として、大学教授や弁護士、企業経営者ら10人からなる消費者委員会を設置。その委員長に就任予定だったのが「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)などのテレビ出演で知名度が高い住田氏だった。

 住田氏は委員長含みで同委員会の設立準備参与の代表を務めていたが、関係者によると8月中旬に「委員を辞退したい」と申し入れがあった。野田聖子消費者行政担当相が説得したが、翻意させることはできなかったという。

 辞退の背景について、霞が関関係者は次のように指摘する。

 「政府が7月1日付で住田氏の人事を発表すると、弁護士会や消費者団体の一部から猛反発の声が挙がった。その後、設立準備参与の中でも『反住田派』が勢力を増したことが大きい」

 群馬弁護士会は公式ホームページの中で「同氏(住田氏)のその所属事務所の複数の弁護士が消費者金融業者側の代理人として活動している」ことを挙げ、委員には不適切と指摘。

 全国クレジット・サラ金問題対策協議会(代表幹事・木村達也弁護士)も同様に住田氏の委員起用に疑問を呈した。

 「住田氏の就任辞退を決定的にしたのは、8月に設立準備参与の1人が横浜市長選出馬のため辞職し、新たに大手企業の社外取締役を補充したこと。これによって『反住田派』が多数を占めるようになり、住田氏は辞退せざるを得ない状況に追い込まれた」(霞が関関係者)という。

 一方、自公政権は初代長官に元内閣府次官の内田俊一氏(60)を起用したが、民主党は官僚出身者の起用に猛反発しており、鳩山由紀夫代表も「(見直しの)可能性は残っている」と話している。

 また、消費者庁の事務所は東京・永田町の首相官邸の隣にある山王パークタワーの3フロアで、年間の賃料は約8億円。民主党はムダ遣いだと批判している。

 迷走を続ける消費者庁は本当に消費者のための官庁となれるのか。民主党のかじ取りが注目される。