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米主要紙、鳩山氏の対米姿勢に相次ぎ懸念

9月2日2時5分配信 産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】米国の2大主要紙であるワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズは1日、日本の総選挙を圧勝に導いた民主党の鳩山由紀夫代表に関する社説を一斉に掲載し、同氏の対米姿勢に強い懸念を表明した。

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 ワシントン・ポスト紙は、強固な日米関係を支持した自民党に対し、民主党を率いる鳩山氏が「経験のない政治家」だと指摘。同氏が「アジア中心の外交政策」を掲げ、これまで「米国流の市場原理主義」や「グローバル化の欠陥」を繰り返し攻撃してきた人物であることを挙げた。

 さらに、鳩山氏が次期首相に選出された場合、沖縄駐留の米海兵隊移転問題などで、オバマ政権との交渉を試みることに「疑いの余地はない」として、普天間飛行場の沖縄県内移設などをめぐる再協議への警戒感を暗に示した。

 その上で、日本が米国との決裂を求めたり、オバマ政権がその溝の広がりを許すことがあれば、「北朝鮮の核の脅威は日本の周辺をきわめて危険なものとする」と警告した。

 ワシントン・ポスト紙は、ほぼ半世紀にわたる自民党支配の硬直ぶりを同党の敗因に挙げ、民主主義の下で政権交代に道が開かれたことは歓迎する。ただ、民主党の福祉政策では財源が不明確だと指摘するなど、自民党で対処できなかった日本の課題を寄り合い所帯の民主党が変えられるのか、との疑問を呈した。

 一方、ニューヨーク・タイムズ紙の社説は、民主党の圧勝が「経済苦境と政治の行き詰まりに終止符を打ち、派閥間の取引とは違う真の指導力を発揮するよう望む」と評価。その上で、「鳩山氏の政策提案のいくつかは妥当だが、懸念を持たざるを得ないものもある」として、より明確な説明を求めている。

 その筆頭が、海上自衛隊によるインド洋での給油活動の見直しに触れた鳩山氏の発言だ。同紙は、「オバマ大統領が新たなアフガニスタン政策を進めるなかで、日本はリスクを帯びないこの活動を少なくとも来春までは継続すべきだ」と言明した。

 同紙は、靖国神社への参拝を見送るとした鳩山氏の対応を歓迎するなど、リベラルな政治姿勢には共感を示す。しかし、有権者の選択肢を常に担保するため、自民党がこの大敗後にも命脈を保つことを「期待する」と述べるなど、民主党の政権担当能力を冷徹に見極める構えをみせた。

 2紙に先立ち、米紙ウォールストリート・ジャーナルの社説(8月31日付)は、鳩山氏の持論である「友愛」を取り上げ、オバマ米大統領流に「野心的なチェンジ(変革)」を掲げた同氏の勝利が、「実際の政策で失望を招く可能性もある」と述べていた。

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最終更新:9月2日2時5分

産経新聞

 

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