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“意地” 党内基盤危うい岡田幹事長 小沢氏を意識、権力闘争“勃発”

9月2日7時56分配信 産経新聞

 「特別国会が召集されるまでの間、選挙戦への協力御礼を含めて、地元の活動に引き続き取り組まれるよう、強く要請します」

 衆院選で初当選した新議員の一人は、岡田克也幹事長名で1日に一斉送付されたファクスに首をかしげた。

 「『言わずもがな』のことをなぜわざわざ」

 今回当選した新人・元職は195人。浮かれた表情で大挙して国会に押しかければ、4年前の衆院選の「小泉チルドレン」のようにメディアの餌食にされかねない。岡田氏は「自民党の二の舞いを演じるわけにはいかない」と考えたようだ。

 だが、通達には岡田氏の別の思惑も透けてみえる。

 小沢一郎代表代行、鳩山由紀夫代表、菅直人代表代行らはすでに各グループの新人議員に上京を控えるように促している。「屋上屋を架す」ような通達は、岡田氏の幹事長職への強い執着心の表れではないか。岡田氏は特別国会召集に先立ち、新議員に心構えを伝える集会を幹事長として招集することも決めた。

 もう一つは、小沢氏への対抗意識だろう。岡田氏は5月の代表選で小沢氏が推す鳩山氏と戦っており、その遺恨はなお消えていない。

 しかも鳩山氏は小沢氏を「選挙の神様」とあがめ、小沢氏に来年夏の参院選の陣頭指揮をとらせることを公言している。選挙対策を奪われた幹事長はメディア向けの「当て職」となりかねない。

 小沢氏のグループは約120人となり、往時の自民党経世会を彷彿(ほうふつ)させる一大勢力となった。対する岡田氏は自らのグループは持たず、小沢氏に批判的な前原誠司副代表や野田佳彦(よしひこ)幹事長代理の中堅・若手グループの支持を受ける。小沢グループの膨張により岡田氏の相対的な党内基盤は脆弱化したといえる。

 そんな中、岡田氏は「政権移行チーム」の発足で意地を見せようとした。

 政権発足直後の混乱を回避するため、官房長官など主要閣僚を事前に決めチームを作る構想は、平成17年の衆院選のマニフェスト(政権公約)に、代表だった岡田氏が肝入りで押し込んだものだった。

 鳩山氏は8月下旬に岡田氏の進言を受け、この構想を実行に移そうとした。ところが、小沢氏が「人事がいろいろ新聞に書かれているが、選挙に勝つことが先だろう」と周囲に不満をぶちまけているのを知ると、一気に消極姿勢に転じてしまった。

 それでも岡田氏はあきらめず、特別国会召集を11日に早めようとした。少しでも早く組閣し、秋の臨時国会までの準備期間を確保しようと考えたのだが、いつのまにか雲散霧消してしまった。

 小沢氏が党務を掌握する上で岡田氏は「目の上のたんこぶ」となりつつある。かと言って重要閣僚に起用すれば、鳩山氏のお株を奪いかねない。「原理主義」といわれるほどの頑固者だけに閣内不一致を生む可能性もある。

 だが、民主党内に「岡田待望論」は消えない。冷遇すれば反主流派のリーダーになる可能性もある。鳩山氏は岡田氏をどう処遇しようとしているのか。そして岡田氏が狙う次の一手は何なのか。「政権政党」の熾烈(しれつ)な権力闘争はすでに始まっている。(加納宏幸)

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最終更新:9月2日8時21分

産経新聞

 

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