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最低賃金10円増の平均713円 民主目標と隔たり(1/2ページ)

2009年9月2日5時28分

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 今年度の最低賃金(時給)の改定額が1日までに、全都道府県で出そろった。厚生労働省の集計によると、全国加重平均は713円で、前年度比で10円の増額。厚労省の審議会が示した引き上げ目安の7〜9円を上回った。民主党は全国平均で時給1千円の最低賃金を目指しており、実現に向けた議論が活発になりそうだ。

 各都道府県の地方最低賃金審議会が改定額を各労働局長に答申した。今後、労使からの異議申立期間を経て、10月31日までに順次適用される。

 昨秋以降の厳しい経済情勢を反映し、全国平均の引き上げ額は前年度の16円より6円減った。ただ、前回景気が低迷した02〜04年度の増額が0円か1円だったのに比べれば、必ずしも少額ではない。

 厚労省の中央最低賃金審議会は7月、最低賃金が生活保護水準を下回る「逆転現象」のある12都道府県に限り、2〜30円引き上げる目安を地方審議会に提示。残りの35県は「現状維持を基本」としていたが、このうち33県が1〜5円の引き上げを決めた。増額見送りは新潟・岐阜の2県だけだった。

 目安を上回る引き上げとなったのは、働く貧困層(ワーキングプア)解消に向け、賃金底上げを求める世論が高まっていることが背景にある。

 ただ、最低賃金が最も低い佐賀、長崎、宮崎、沖縄の各県(629円)と、最高の東京都(791円)の差は162円となり、現在の139円から大きく広がる。

 新たに政権を担う民主党はマニフェストで「最低賃金の大幅引き上げ」を掲げる。最低賃金を「労働者とその家族を支える生計費」とし、全労働者に適用される「全国最低賃金」を800円とした上で、全国平均で1千円を目指すとしている。

 最低賃金の大幅な引き上げは、労働者の所得増が消費拡大につながるとの期待がある一方、中小・零細企業の経営が圧迫されて倒産や人員削減を引き起こし、かえって雇用を減らすとの見方も根強い。

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