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性犯罪審理、被害者に配慮 青森地裁で裁判員選任

 全国で初めて裁判員が性犯罪事件を審理する青森地裁の裁判員裁判。地裁は1日の裁判員選任手続きで、裁判員候補者に被害者の女性の個人情報を伏せたり、被害者と接触する機会があったかどうかを尋ねたりするなど、被害者の心情やプライバシーに配慮した。選任から漏れた候補者は地裁の対応に理解を示す一方で、デリケートな事件を審理する難しさも指摘した。

 地裁は選任手続きの冒頭、候補者にメモや撮影、録音をしないよう要請。その後に配布したA4判の質問票に事件の概要を記したが、被害者の住所は「十和田市」までにとどめ、名前は「Aさん」「Bさん」と匿名にした。被害者と面識があるか、生活圏が同じかどうかなどを記入してもらい、質問票は回収した。

 裁判官らによる面接も実施し、被害者と接触した可能性を細かく聴いた。質問票に「仕事で十和田市に月に数日間行く」と書いた三沢市の会社員男性(50)は、裁判員に選ばれなかった後、「2、3分の個別面接を受け、『どういう所を回っているのか』と聞かれた。酒屋だと答えると、裁判長に『それだったら問題ないですね』と言われた」と説明した。

 地裁の手続きについて、八戸市の会社員田名部渉さん(23)は「もし身内が同じような被害に遭い、裁判員裁判になっても安心できる」と評価し、「裁判員に選ばれたら被害者の詳細を知る必要があると思うが、候補者全員が知る必要はない」と話した。

 「性犯罪で裁判員に選ばれるのは一番きつい」という声もあった。
 十和田市の会社員松田満さん(53)は「自分にも娘がいるが、娘を持つ方なら相当、感情移入してしまうと思う。公平な判断ができないから、裁判員から外した方がいい」と強調した。

 青森地検の田野尻猛次席検事は選任手続き終了後、「被害者に名簿を見せ、関係者と思われる人がいた場合、該当者かどうかを個別面接で確かめてもらうよう地裁に要望した。被害者のプライバシーを最大限保護した」と述べた。


2009年09月02日水曜日

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