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民主成長戦略に不安増す 外国人投資家「日本売り」に転換
2009/9/2
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外国人投資家が“日本売り”の姿勢を強めている。7月までは日本株の買い越しを続けていたが、8月に入ってからは売り越し基調に転じた。日本売りの最大の要因は、家計支援に手厚い民主党の政策が日本全体の成長につながるかどうかを疑問視しているためだ。対米戦略の見直しや円高容認の姿勢、さらに財政健全化に向けた施策も不透明なだけに、民主党の政策が具体化するにつれて、日本売りがさらに加速する懸念もある。
◆景気二番底の恐れ
衆院選直前の8月末まで米国や英国の機関投資家を回っていたバークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは「当初は日本にも『チェンジ(変革)』の風が吹いたと、ポジティブな反応が多かった。だが、民主党の圧勝が伝えられるにつれ、『民主党の政策が見えない』との不安が広がり始めた」と指摘する。
これを裏付けるように、欧米金融機関など外国人投資家は、主要3株式市場(東京・大阪・名古屋)で、8月第3週(17〜21日)に6週ぶりに売り越しに転じた。外国人投資家は4月から7月まで4カ月連続で買い越しを続け、買越額は1兆8000億円近くに上っていただけに、政権交代を前にした投資姿勢の変化は、外国人投資家の不安を表しているかのようだ。
1日の東京株式市場も、日経平均株価は前日比37円53銭高の1万530円06銭と小幅高で引けたものの、東証1部の出来高は16億5264万株と約1カ月半ぶりの薄商い。市場シェアの約半分を占める外国人の取引が「細っている」(大手証券)ためだ。
外国人が最も恐れているのが、日本経済の先行きだ。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「子ども手当などの家計支援策は短期的にプラスだが、効果が続かずに景気が二番底をつける恐れもある」と懸念する。小泉政権以降の構造改革路線が後退するとの観測が強まる中、森田氏は「民主の政策に成長戦略や規制緩和の議論が乏しい点は、外国人には『日本は内向き』と映る」と指摘する。
◆新政権への圧力に
1日の東京外国為替市場で1ドル=92円台まで進んだ円高も、当初は変革への期待感と受け取られていた。だが、白川氏は「民主党の円高容認姿勢が背景にあり、外国人は日本株を一層買いにくくなった」との見方を示す。
懸念される財源問題も、「自公政権下の無駄遣いを見直せば、国債増発に頼らぬ民主の路線は間違っていない」(UBS証券の平川昇二チーフストラテジスト)との声は少数派。森田氏は「外国人投資家は、歳入面の戦略を明示してほしいと望んでいる」と注文する。
日本市場で年々存在感を増す外国人の投資行動は、「日本経済の鏡」とも言われるだけに、新政権にも無言の圧力になりそうだ。(柿内公輔)
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