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【格闘技】

石田順裕がWBC世界暫定王者 34歳主夫チャンプ

2009年8月31日 紙面から

 同級3位石田順裕(金沢)が、34歳12日の国内歴代2位となる年長世界王座奪取を果たした。序盤から左ジャブでポイントを重ね、同級4位マルコ・アベンダーニョ(35)=ベネズエラ=に3−0の判定勝ち。スーパーウエルター級の日本人世界王者は輪島功一、工藤政志、三原正に次ぐ4人目。27年ぶりの戴冠。また、10月6日に大阪でWBA世界フライ級王者デンカオセーン(タイ)に挑む同級11位の亀田大毅(22)=亀田=が登場。前哨戦(53・0キロ契約10回戦)を4回KO勝ちで飾った。

 34歳のパパがデッカイ仕事をやってのけた。リング上では誇らしげに、長男慈穏(しおん)くん(5)、長女咲来(さら)ちゃん(3)を抱っこしながらヒーローインタビューを受けた。リングを降りると、仲間からの胴上げが待っていた。石田は、顔をくしゃくしゃにしながら宙を舞った。

 身長差11・5センチ、リーチ差5センチを生かし、左ジャブを突く。また左ジャブが出る。石田の左が世界を制した。国内では35歳24日でWBCフェザー級王者に輝いた越本隆志に次ぐ歴代2位の年長世界奪取になった。

 「タイトルマッチが1年できなくて…。会長はじめ、ホンマにありがとうございました」

 両者は昨年9月に挑戦者決定戦として激突。石田が2−1判定勝ちで挑戦権を獲得した。だが、世界戦がなかなか決まらない。金沢会長は実現に向けベネズエラ、ドバイ、マイアミと世界中を飛び回った。「ホンマにうれしい。こんなにうれしいことはない」とまな弟子の快挙に泣き崩れた。

 この試合にかけていた。妻・麻衣さん(29)は、市役所などで進学相談に乗る臨床心理士。石田が炊事洗濯や子どもを保育所に送迎するなど主夫業をこなしてきた。だが、今回は家事から解放され、過去最多となる210回のスパーリングを消化。1カ月にわたる米ロサンゼルス合宿では世界ランカーと何度も拳を交えた。ボクシングに集中させてくれた家族のためにも勝ちたかった。

 「まだ暫定なんで。暫定にはいろいろ意見があるだろうし、真のチャンピオンになって世間に認められたい、という思いがある。その時は号泣すると思います」

 34歳の挑戦はまだまだ続く。

  (森合正範)

 

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