柳原三佳のブログ

交通事故・死因究明問題などを追及する柳原三佳からの情報発信。あるときはジャーナリスト、あるときはノンフィクション作家、でも、1日の大半はお料理と芝刈りが大好きな「主婦」してま〜す!

残念な記事 「堺屋太一 憂いの熱弁」 飲酒運転の厳罰化が日本を滅ぼす

 昨日から、私のもとにはたくさんの方からメールや電話をいただいています。
 その理由は、今週の「週刊朝日」に掲載された、

自民・民主のマニフェストから見える日本の近未来
堺屋太一 憂いの熱弁
飲酒運転の厳罰化が日本を滅ぼす

 という記事にあります。
 簡単にまとめると、
「飲酒運転が厳罰化された結果、地方の飲食店が軒並みつぶれた」
「こんな悲惨な状況を作った大きな原因の一つが、飲酒運転の取り締まり強化、厳罰化だ」
 というのです。
 堺屋氏は、飲酒事故でどれだけの大切な生命と、そして将来を奪われた人々が存在するのかを知った上で、このような発言をされているのでしょうか……。
 なにより、この発言をもとに、
「日本を滅ぼす」
 という見出しを付けた編集部の判断には、今でも信じられない思いでいっぱいです。
 
 ある方からは、匿名でこんなメールが届きました。

*************************

柳原様

以前,週刊朝日であなたの連載記事を読み,大変共感を覚えました.
昔からの嫌な言葉ですが「死人に口無し」というものがあります.
交通事故の被害に遭って亡くなられた方の家族が,いかにも被害者に
落ち度があったかのような仕打ちを受け,二重の被害を受ける事が
あってはならないと思います.

あなたの記事は素晴らしく,読み返す事もあったのですが,
今週の週刊朝日に大変残念な記事が載りました.

堺屋太一 憂いの熱弁
飲酒運転の厳罰化が日本を滅ぼす

この記事を拝見し,週刊朝日の編集部はどういう意図をもって
掲載したのか,私にはわかりかねます.
私としては,交通事故の問題を真正面から取り上げた雑誌に
こういう記事が載る事で,今までの記事の価値が損なわれるのではと
気がかりです.

***********************

 この方が書いてくださっているように、「週刊朝日」は、これまで私が取材した交通事故被害者の苦しみを、何度も何度も、真摯な姿勢で取り上げてくださいました。
 私は「厳罰化」を先頭に立って推進してきた者ではありませんが、少しでも飲酒運転撲滅につながるような記事を一生懸命に書いてきたつもりです。、
 それだけに、今回、こうしたかたちで、飲酒厳罰化が経済評論家の視点でマイナス評価され、記事化されていることには、大きなショックを受けました。

 実際に飲酒運転の加害者に大切な息子さんの命を奪われた椋樹立芳さんからは、「怒り、怒り、事故後の最大の怒り」と題したメールが届きました。
 大変厳しい口調で書かれておりますが、椋樹さんのこれまでの血の滲むようなな悔しさとご努力を見てきた私には、この怒りが苦しいほどわかります。
 椋樹さんの了解を得ていますので、あえてここに転記します。

柳原様

 椋樹です。

 週刊朝日は全国の飲酒運転事故の被害者と、その他の事故の被害者や交通事故防止運動をしている人や、司法関係者の努力をあざ笑った卑怯なでたらめ原稿を、訂正もせず、おまけに大きな活字で「飲酒運転の厳罰化が日本の経済を滅ぼす」と言う題名で発行をした。

 私にしては、息子を飲酒運転の車に追突されて亡くしたが、来年で20年を経過するが、現在でも、その当時の精神状態のままである。この気持ちは終生軽減することは無いと 思っている。
 その間に色々な場で飲酒運転厳罰化運動をしてきたが、今回の週刊朝日の記事ほど卑劣な記事を読んだことはない、背筋が凍る思いである。こんな事は、20年来初めてである

 こんなデタラメな原稿を書いた記者は、一般常識のある記者か疑問である。また、編集長も、この記事が全国の被害者や関係者を敵にするということが判らなかったのか。
天下の大新聞の朝日新聞や週刊朝日の社長も、謝罪記事と謝罪声明を載せた内容のものを来週発行すべきである。

 ここで私、椋樹立芳の反論を書きます。
 
1 飲酒運転厳罰化が日本を滅ぼす。.

 週刊朝日が、この記事の題目にするのは、大間違いである。交通事故の一件あたりの経済損失を計算したことがあるのか、一度計算して見ろと言いたい。厳罰化を緩めたら、 経済損失が大幅に激増し、全国年間で、現在でも兆の単位の被害額が更に激増する。
 交通事故の数が増えるほど日本経済を駄目にいている元凶であると考えても良い。

2 官僚統制が、強くなっていると主張しているが。

 飲酒運転厳罰化等は、官僚統制でなく事故の遺族等の長年の要求であり、遺族等が先に言い出した事であると、私は思っている。他の事でも官僚やることは、事案が問題化されてからでないと動かない本能を持っていることを知らないのか。

3 日本は飲酒運転規制に関わる情報統制がある。
 
 と言っているが、外国と日本では条件が同じではない。飲酒運転がどんな大事故を生むか理解していない。それが証拠に福岡の事故の3年目の日に、事あろうに同じ福岡の警察官が酩酊運転をして逮捕されたが゛、酒飲みの人は、酒を飲み出すと、その善悪を忘れて大酒を飲む習性があることを忘れてはならない。もし、外国の基準とした場合に想定したらどれだけ飲酒事故が増加するか考えたことがあるのかと言いたい。

4 地方の飲食店が軒並み潰れています。

 飲食店が潰れるのは飲酒運転厳罰化が全てではない。不景気で国民全体の所得が大幅に減少したからで、外食する人が大幅に減少したからである。

5 人口20万以下の都市に行くと、夜7時を過ぎたら全く人が歩いていない。

 こんな事は、20年前30年前からの現象で、元々田舎では当たり前のことで、人出があるのはパチンコ屋さんだけで、今はそれもない。東京等の大都会と同列に考えるのは大間違。常識を疑う。大都会は、環境を破壊しているのを知らないのか。
 田舎の都市の近郊には大手のスーパーが何カ所か出来て地方都市の市街地からの人出を総ざらいしたのを知らないのか、こんな事を飲酒運転厳罰化に絡めて、こんな評論家に言って貰いたくない。

6 飲酒事故の取り締まり強化、厳罰化なのです。
 
 本当に「堺屋太一」は書きようの無い馬鹿者である。こんな奴に経済論を言う資格はない。また、これを書いた記者とその上司も、馬鹿者である。週刊朝日と朝日新聞は、全国の飲酒運転の被害者や、他の遺族や司法関係者に向けて、謝罪記事と謝罪広告を必ず出すべきである。

●椋樹さんのHPは天空の裕之へ
  1. 2009/08/27(木) 16:02:50|
  2. ミカの日記

プロフィール

柳原三佳

Author:柳原三佳
ジャーナリスト・ノンフィクション作家。
 
コピーライター、バイク雑誌の編集記者を経てジャーナリストとして独立。交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演活動を行う。「週刊朝日」などに連載した告発ルポをきっかけに自賠責制度の大改定につながったことも。2004年からは死因究明問題の取材にも力を入れ、犯罪捜査の根幹に一石を投じてきた。著書に「交通事故被害者は二度泣かされる」「自動車保険の落とし穴」「死因究明〜葬られた真実」「焼かれる前に語れ」「交通事故鑑定人」「裁判官を信じるな」など多数。浦野道行氏との共著『示談交渉人裏ファイル』は、TBS月曜ミステリー劇場「示談交渉人・甚内たま子裏ファイル」の原作に。 また「自賠責請求ガイド」「後遺障害損害賠償請求バイブル」はロングセラーとなっている。実父を医療過誤で亡くし、自らも医療過誤被害を受けた経験があり、現在は医療問題にも精力的に取り組んでいる。

■柳原三佳のHP 
http://www.mika-y.com/

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