株式市場は民主圧勝に「冷静な歓迎」、失望リスク警戒も
[東京 31日 ロイター] 民主党は総選挙で歴史的な政権交代を決めたが、株式市場では一応の歓迎ムードを示しながらも、今後の政策実現力などを見極めようと冷静だ。自民政権が崩壊して誕生した細川内閣が失望され株安要因となった1993年同様のリスクを警戒する声も多い。
選挙結果を受けた日経平均は乱高下。一時、前週末200円を超える上昇となり、年初来高値を更新したが、円高と中国株安が進むと一気にマイナス圏に沈んで前場を終えた。荒い値動きとなっているのは、CTA(商品投資顧問業者)など短期筋の売買が中心となっているためで、実需筋は「民主圧勝による政権の安定化などを好感しながらも特に期待感が強くなっているわけではない。お手並み拝見とばかりに冷静だ」(準大手証券トレーダー)という。
麻生太郎首相が解散を示唆した7月13日の翌日から日経平均は上昇してきたが、旧体制の終えん・新政権誕生への期待が株価上昇の原動力だとみている向きは少ない。既得権の打破や予算の組み替えによる「CHANGE」を期待する声もあるが、財源問題や「ルーキーズ」ばかりの民主党の政権担当能力に不安を抱く投資家もいる。
MSCIワールド株価指数は7月10日を起点に上昇を続け、前週末28日に年初来高値を更新するまで18%上昇してきたが、日経平均は同期間で13%の上昇にとどまっている。米ダウは17%の上昇だ。「日本株上昇の主な原動力は米国景気や企業業績の回復期待」(三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏)。世界の株価が上昇するなかでウエートを維持するために日本株も買われたとの見方が市場では一般的だ。
期待が小さければ失望も小さいのがセオリーだが、一筋縄ではいかないのがマーケットの常だ。1993年のように小さかったはずの「失望感」を売り手がかりに相場が崩される可能性は否定できないという。
<小さな期待が大きな失望に>
38年間続いた自民党長期政権「55年体制」が崩壊し、細川護熙政権が誕生した1993年。日経平均は年初の1万6994円から新政権誕生の8月9日には2万0493円まで20%上昇した。
みずほ証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏によると、新政権誕生への高揚感は現在よりも強かったが、株価押し上げの買い主体は公的資金による株式取得、いわゆる「PKO」だったという。バブルが崩壊し1989年12月末に3万8915円だった日経平均は1992年8月には1万4650円まで低下。当時の宮沢喜一内閣は同8月に約10兆円の総合景気対策を打ち出し、郵貯や年金などの公的資金を信託銀行に委託して株式購入に振り向けることが可能になった。 続く...
中国、再び融資拡大促す可能性
中国・安信証券のチーフエコノミストは、不動産価格の騰勢が鈍った場合、当局が再び銀行融資の拡大を促す可能性があるとの見方を示した。 記事の全文