2009総選挙
衆院選は31日未明、民主が単独過半数を獲得。政権を奪取した
【国際】米政府 鳩山新政権へ くすぶる懸念2009年9月1日 朝刊
【ワシントン=岩田仲弘】日本の総選挙で民主党が圧勝、政権交代が実現したことで、日米関係も大きな転換点を迎える。オバマ政権は「次期政権下でも、強力な日米同盟、緊密な二国間関係は発展し続ける」(ホワイトハウス報道官声明)と早速歓迎の意を示したが、「対等な日米同盟関係」を掲げる民主党政権の“真意”については読み切れず、懸念はくすぶり続けている。 日本の政権交代をめぐっては、国務省のケリー報道官も三十日、「クリントン国務長官は日米同盟はアジアの平和と安定の礎石と述べている。過去の成功を土台に同盟関係をより強固にしたい」と期待感を示した。 だが、「過去の成功」に基づく期待表明は鳩山新政権への「けん制」にもつながる。オバマ大統領は国際協調主義に基づき、同盟国に「対等な」責任分担を求めるからだ。 特にアフガニスタンでの対テロ戦争は、その成否がオバマ政権を揺るがす重要課題だけに、同盟国の協力は当然とみなしている。民主党は元来、海上自衛隊によるインド洋での給油活動に慎重だが、米外交問題評議会(CFR)のシーラ・スミス上級研究員は「給油活動は各国から尊敬されており、日本政府にとって戦争のシナリオを描く必要もない完璧(かんぺき)な妥協点だ」と指摘。海自撤収に踏み切った場合、同盟関係の悪化は避けられそうにない。 民主党もこうした事情を踏まえ、対米政策を現実路線に軌道修正しつつあるとみられていた。ところが、ここへきて鳩山民主党代表が八月下旬に米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)などに寄稿した「日本の新たな道」と題した論文が、新たな波紋を広げている。 鳩山氏は論文の中で米国の「市場原理主義」を批判し、ドル基軸体制の限界を示唆している。これについてスミス氏は「民主党は(ドル基軸を支える)国際通貨基金(IMF)体制を支持する気があるのか。世界の金融規制改革や日本国内の景気刺激策、世界経済成長に対する責任をどう考えているのか」と疑問を投げかけた。 日米両首脳による初顔合わせは、早ければ九月下旬の国連総会にも実現する。両政府は経済政策をめぐり、同盟関係の最初の試練に直面しそうだ。
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