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【経済】

概算要求づくり 省庁に徒労感 民主政権なら組み替え必至

2009年8月26日 朝刊

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 31日に締め切られる2010年度予算の概算要求をめぐり、各省庁の担当者が困惑している。民主党が予算編成のやり方を大幅に改めるとしており、締め切り前日の30日に投開票される衆院選を経て、同党が政権を獲得した場合の先行きを見通しにくいためだ。通常なら年末となる政府予算案の決定が、越年するのではとの声も出始めた。 (小松田健一)

 今年は七月一日に公共事業費の前年度比3%減などを各省庁に求めた概算要求基準(シーリング)を閣議了解しており、今月三十一日の締め切り後、九月から編成作業が本格化する。例年なら、財務省が各省庁や自民党の関係部会と調整しながら査定を進め、十二月下旬に政府案を決定する。

 しかし、民主党は政権を獲得した場合、政治主導で編成するために首相直属組織として新設する「国家戦略局」が予算の骨格をつくるなど、抜本的に見直すと表明。概算要求も白紙化するとしており、ゼロからやり直すことになる。

 このため「霞が関」には編成作業スタートの遅れで、年内編成に黄信号がともりかねないとの懸念もある。しかも、民主党は経済対策を盛り込んだ〇九年度補正予算も、不要と判断した事業の執行を凍結し、内容を組み替えて財源を生み出す方針を示している。

 ある経済官庁幹部は「もし概算要求を全部ひっくり返すなら、編成作業が一カ月は遅れる」と、作業量の大幅増加が「越年」につながることへの不安を漏らす。

 要求する事業官庁側も様子見状態だ。農林水産省は「農政改革の展開に即した予算をつくる」(井出道雄次官)と表面上は通常通りの対応を強調する。しかし、「民主党に吹き飛ばされるかもしれないものをせっせとつくるのはむなしい」(ある幹部)などと、省内には徒労感も漂う。

 国土交通省は金子一義国交相の承認を求めるための日程が取れず、締め切り当日の三十一日に内容を発表する予定など、ぎりぎりの対応を迫られている。密接に連絡を取り合ってきた与党議員が選挙戦で不在な一方で、民主党へ今から露骨に接近するわけにもいかず、同省幹部は「永田町に相談相手がいないので、思い切った手は打ちにくい」と嘆いている。

 

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