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人柄にじむ確かな手仕事 夫婦で守る老舗かばん店・仙台
 | 7坪(約23平方メートル)ほどの店内には、大小さまざまなかばんがつるされ、材料やミシンなどの道具で埋まっている。お客の要望に応えるため、かばんの素材や種類も増えていった |
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 | 光男さんが商品のかばんを縫製し、フミ子さんは革を切って修理品の部品を作る。「最近は足腰が弱くなったけど、無理せずに続けていきたい」とフミ子さん |
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 | 車内で使う料金入れを買いに来たタクシー運転手の女性。使い勝手が良いと口コミで大勢の客が訪れる「隠れたヒット商品」だ |
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 | 創業時から代々使い続けている「はさみ器」に革を挟み、糸で縫っていく。2本の針ときりを巧みに使う職人の手がよどみなく動き続ける |
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革や帆布で作られたかばんが所狭しと並ぶ。「菅井光男カバン店」(仙台市青葉区大町)は141年の歴史がある老舗。菅井光男さん(79)と妻フミ子さん(76)が、今も昔ながらの手作りにこだわり、夫婦で仕事を続けている。
創業は1868(明治元)年で、光男さんが4代目。幼いころから父の喜之助さんの下で修業をして腕を磨き、戦時中に一人前となった。注文は軍隊や学生のかばんが中心。戦後はお客が持ち込む布で闇市の仕入れに使う大きなリュックサックを作った。丈夫な作りに定評があり、お客が途切れることはなかったという。
フミ子さんとは1957(昭和32)年に結婚。喜之助さんから店を受け継ぎ、夫婦で家業を営んできた。高度成長期はサラリーマンの通勤かばんや女性用のハンドバッグも製作するなど、商品の種類が増えていった。最近は輸入ブランド物を修理に持ち込む若い女性も多い。
腕の確かさと機能的なデザインが人気で、全国から注文が入る。丁寧な仕事に優しい人柄が表れていると評判だ。「自分はかばん作りしか知らないが、お客さんの喜ぶ顔を見るのが生きがい」と光男さん。仙台の歴史を見続けた昔気質の職人にとって、まだまだ忙しい日々が続く。 (写真部・伊深剛)
2009年08月26日水曜日
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