企業内の情報活用が重要視される中で課題となるのが,企業内の情報の約8割を占める非構造化データの扱いだ。契約書や申込書など紙ベースのものも多い。こうした情報はビジネスプロセスに伴って発生し,体系的に管理されていない。日本IBMでECMのソリューションを推進する水越将己氏は,「全社的コスト削減の切り札。ビジネスプロセスマネジメント入門」と題する講演でその解決策を提案した。
「ビジネスプロセスには必ずコンテンツが発生します。それを体系的に管理することが実は重要なのです」と水越氏は指摘する。コンテンツとは,紙,メール,添付ファイル,プレゼンテーションデータなど様々な形式の情報を指す。その多くは非構造化データであり,企業のデータの約8割が非構造化データで占められると言われる。これらを体系的に管理することが重要になっている。 水越氏は,自動車保険の支払いプロセスを例とし,コンテンツとプロセスの融合ができていないことで効率化が図れていないと説明する。「保険が支払われるまでは,契約書や申請書,領収書,事故調書など様々なコンテンツが発生しますが,受け付けからフロントオフィス,バックオフィスといった流れの中で,コンテンツとプロセスが連動しないために処理に時間がかかり,お客様からの問い合わせにも迅速に対応することができません」(水越氏)。 そこで求められるのが,プロセスとコンテンツを融合させて管理することだ。プロセスの流れをケースとして管理するとともに,コンテンツはコンテンツリポジトリにデジタル化して保管する。水越氏によれば,「プロセスとコンテンツをシステム的に連携させることでオペレーションのログも残り,コンテンツを必要に応じて取り出せるようになります。引き継ぎ業務も必要なく,業務を効率化できます」という。 こうしたプロセスとコンテンツの融合するBPM基盤が,IBM FileNet BPMだ。FileNetは,コンテンツエンジンとプロセスエンジンの2つのコアエンジンを持ち,その上にログやコンテンツを管理するデータ層,プロセスを制御するビジネスロジック層,インターフェイスとしてのプレゼンテーション層がある。 「プロセスとコンテンツの融合をアーキテクチャーレベルで実装しており,多くのプロセス処理を自動化できます」と水越氏は,7日間かかっていた処理を自動化して2日間に短縮し,76%のコスト削減に成功した住宅ローンの事例を挙げた。 「FileNetの特徴は,自動化,統合,最適化をひとつの製品で実現しているところにあります」と水越氏は解説する。プロセスを設計してビジネスプロセスをモデリングすることで自動化し,既存のアプリケーションと連動・統合して実行されたログを収集して分析。プロセスシミュレーターでシミュレーションしたうえで最適化を図ることができる。FileNetの上でPDCAサイクルを回すことができるというわけだ。 水越氏は,FileNetで大きな成果を上げている銀行や損保業界,電力業界の事例を示しながら,「FileNetはコンテンツとプロセスを1つのプラットフォームで管理できる唯一の製品で,フォーチューンが選ぶ100社のうち80社以上で利用されています。業務を改善し,コストを削減するためにぜひご検討ください」と締めくくった。 日本アイ・ビー・エム株式会社 http://www.ibm.com/jp/
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