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石田、世界王座初挑戦で奪取!判定3−0の完勝

スーパーウエルター級暫定王座を奪取した石田順裕は胴上げされる

◆ スーパーウエルター級27年ぶり日本人王者 ◆

 石田順裕が27年ぶりのスーパーウエルター級世界王座奪取に成功した。30日、マルコ・アベンダーニョと暫定王座を争い、最大10点差の3−0で12回判定勝ち。昨年9月、小差で12回判定勝ちして以来の再戦を制した。日本のジム所属選手では1982年2月、三原正が失って以来の同級ベルト。10月6日、WBA世界フライ級王座に挑む亀田大毅(20=亀田)は前座で前哨戦に臨み、4回KO勝ちした。

◆ あくまで暫定「真の王者になったら号泣」 ◆

 活路は死中にあった。石田が4回、青コーナーを背負う。KO率56%の強打者に後がない。迫りくるアベンダーニョに踏み込んで振るった左フック。打ち抜いた一撃に相手の腰は落ち、主導権を奪い返した。

 「相手は左を振るときにガードが開く。そこに左を合わせる作戦だった。自分なんかがここまで頑張れると思わなかった。不思議な感じです」

 採点は最大10点差の3−0。開始から左ジャブを飛ばした。世界を制すといわれた左で制御。KO予告した右ストレートは無駄打ちを避けた。1回に右を放った瞬間に食らった右カウンター。右を封じて左にかけるなど、たけた危機管理は新王者にふさわしかった。

 キャリア20年の夢をかなえた。小学校6年で入門した大阪帝拳には世界奪取前の辰吉丈一郎がいた。後のカリスマにため口をきいたわんぱく少年は大阪・興国高で競技を本格開始。1年で国体とインターハイ3位。輝かしいキャリアの起点はフライ級だった。

 現在の9階級下。お家芸の軽量級で磨いた技巧が21歳まで身長が伸び、1メートル88に達した成長力で重量級で開花した。「日本の重量級といえば強打でも単発。世界のスピードに対応できた」。近大からの同期・藤谷敏弘トレーナーは証言した。

 ただ慢心があった。近大卒業後、住み込みで勤めた児童養護施設をやめて飛び込んだプロ。6戦目で東洋太平洋王座を奪取した。兄弟子の元世界王者・徳山昌守に次ぐホープと期待されながら以後日本、東洋太平洋王座戦に5連敗。ロードワークを欠かさなくなったのは2006年12月、日本王座決定戦前だった。

 三原正が陥落後の27年間で2人しか挑戦することも許されなかった世界的激戦区スーパーウエルター級。34歳0カ月、史上2位の高齢で奪取した。しかし涙はない。ベルトはあくまで暫定。「真の王者になったとき、号泣すると思います」。その肉体同様、遅咲きの新王者には未来が大きく開かれている。

 ★石田 順裕(いしだ・のぶひろ)1975年(昭和50)8月18日、熊本県玉名郡出身、大阪府寝屋川市育ちの34歳。アマチュアで116戦の経験があり、00年5月プロデビュー。01年3月に東洋太平洋スーパーウエルター級王座を獲得。同級の日本王座は06年12月に獲得し、2度防衛した。1メートル88の長身でテクニックが抜群の右ボクサーファイター。戦績は28戦21勝(7KO)5敗2分け。


◆ WBA世界スーパーウエルター級暫定王者決定戦 ◆
(8月30日、大阪府立体育会館第1競技場)
同級3位
石田 順裕
(33・金沢)

判定
3−0

同級4位
マルコ・アベンダーニョ
(36・ベネズエラ)
21勝7KO5敗2分 27勝19KO7敗1分

[ 2009年8月31日付 ]

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