「自分なんかが…」石田34歳の初挑戦初戴冠
WBA世界スーパーウエルター級暫定王座を獲得し、胴上げされる石田順裕
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WBA世界スーパーウエルター級暫定王座決定戦が30日、大阪府立体育会館で行われ、世界初挑戦の石田順裕(34=金沢)がマルコ・アベンダーニョ(35=ベネズエラ)に3―0で判定勝ちし、暫定王者となった。スーパーウエルター級世界王座が日本に戻るのは1982年2月に三原正が失って以来27年ぶり。34歳の石田は、WBCフェザー級の越本隆志の35歳に次いで国内では歴代2位の年長での世界王座獲得となった。
石田が喜びで声を震わせた。採点は10、8、6点差をつけての大差の3―0。判定後の新王者は、感激で顔をくしゃくしゃにして声を絞り出した。
「いろんな人が協力してくれた世界戦で結果を残せた。ホンマにうれしい。自分なんかがここまで頑張れると思わなかった。不思議な感じです」
試合開始からガードが開く欠点がある右ストレートの無駄打ちを避け、ひたすら左ジャブを飛ばした。4回にはKO率56%の強打者に青コーナーへと追いつめられながらも左フックを一閃(いっせん)。左を制す者は世界を制す…文字通りの展開で勝利をもぎ取った。
小学校6年で入門した大阪帝拳には辰吉丈一郎がいた。後のカリスマボクサーにタメ口をきいたわんぱく少年は名門・興国高で競技を本格的に開始。日本で最も層が厚いフライ級で磨いた技術が、21歳まで身長が伸び続け1メートル88に達した成長力によって9階級上のスーパーウエルター級で開花した。
プロ6戦目で東洋太平洋王座を奪取し兄弟子の世界王者・徳山昌守に続くスターと期待されたが以後、日本、東洋太平洋王座戦に5連敗。妻と2人の幼い子供を持つ34歳は、世界挑戦の話が何度も浮かんでは消え「生活もあるし、今回の試合が決まらなかったら引退するつもりだった」という。正規王者のダニエル・サントス(プエルトリコ)が1年以上、防衛戦を行っていないため、ようやく転がり込んできた暫定王座戦。負けるわけにはいかなかった。
三原正が陥落後27年間でカーロス・エリオット、上山仁の2人しか挑戦できなかった世界的激戦区スーパーウエルター級王座をついに手にした。「まだ暫定なんで、次は真の王者になるために正規王者を倒します」。遅咲きの新王者は早くも統一戦に目を向けていた。
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