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【国際】CIAさらに暗部 暗殺計画に民間人起用2009年8月30日 朝刊
世界最大の情報機関・米中央情報局(CIA)への風当たりが強まっている。ブッシュ前政権時代、CIAが国際テロ組織アルカイダ工作員に対する暗殺計画の立案に、民間企業幹部を雇っていた実態が新たに判明。「テロ容疑者」に水責めなど過酷な尋問を行っていた問題でも司法省が二十四日、捜査開始を表明し、CIAの活動が刑事事件として問われる形となった。 (ワシントン・嶋田昭浩) 米紙ニューヨーク・タイムズは十九日、CIAが二〇〇四年にテロ工作員をめぐる暗殺計画の立案、訓練などのため民間軍事会社ブラックウオーター(当時)の複数の幹部と契約していたと報じた。 計画は成功しなかったとされるが、イラクで米外交官らの警護を請け負っていた同社の警備員が〇七年、一般住民多数を殺傷した事件も記憶に新しく、CIAには批判が集中した。 コーブ元国防次官補(兵員担当)も本紙に「CIAは(アフガニスタンやイラクでの)戦争のため手を広げすぎていた。当局本来の活動を民間人にやらせるべきではなく、人手が足りなければ新たに雇用する必要がある」と指摘する。 二十四日には、ホルダー司法長官が、前政権下でテロ容疑者として拘束されていた外国人らにCIAの職員や契約者が「拷問」(オバマ大統領)を行っていた問題について、担当検察官を置き捜査に着手すると発表。〇四年にCIA監察官がまとめた報告書など、尋問の実態を伝える機密文書数百ページを公開した。 同報告書によると、〇二年三月に拘束したアルカイダ幹部工作員に対し、ある尋問官が「(質問に答えないのなら)おまえの母親を連れてくるぞ」と脅したとされる。 アラブ圏の一部では、情報当局が尋問で供述を引き出すため、拘束者の目の前で肉親の女性を性的に虐待すると一般に信じられており、CIAの尋問官はその風評を利用したという。 〇一年九月の米同時テロの主犯格とされるハリド・シェイク・モハメド被告に対しては複数の尋問官が「おまえの子供を殺す」と脅迫した−とする当局側の証言が、報告書に盛り込まれている。 ホルダー司法長官の決定に対し、国内保守派は「捜査は国家安全保障の根幹を揺るがす」と反発。オバマ大統領が進める医療保険制度改革の行方にも影響を及ぼしかねないだけに、長官は発表の際、「(CIAなど)情報機関で働く人々は国家にとって極めて重要な任務を遂行している」と持ち上げた。 一方、バートン大統領次席報道官はこの日、テロ容疑者に尋問を行う新たなチームを創設し、CIAに代わってホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)が監督する方針を明らかにした。 新チームは連邦捜査局(FBI)の庁舎に拠点を置くとされ、記者会見では「CIAは尋問作業から除外されるのか」との質問も出たが、報道官は「CIAも要員を派遣し、深く関与する」と“CIA外し”の打ち消しに躍起となった。 一九七三年にクーデターが起きた南米チリのアジェンデ社会主義政権崩壊に関与するなど秘密工作のイメージがつきまとうCIAだが、コーブ元国防次官補は「何をするにも議会の承認が必要」と強調。活動の「合法性」が重要としている。
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