2009総選挙
衆院選は31日未明、民主が単独過半数を獲得。政権を奪取した
【暮らし】’09総選挙 暮らし見つめて(7) 今回の数字「66万トン」 エコ対策も渋滞 安さから車を選択2009年8月27日
七月の三連休初日の十八日。浜松市北区の東名高速道路浜名湖サービスエリア(SA)の昼前は、乗用車でごった返した。多くは関西や関東のナンバー。中には福岡ナンバーもあった。 茨城県東海村から六時間以上をかけ、夫の出張先の静岡県新居町に訪れた佐々木昌江さん(41)は「高速料金が千円だから新幹線をやめて車で来た」。家族四人でキャンプ場に向かう愛知県豊橋市の会社員江口智彦さん(37)は「千円で乗り放題だと遠くへ行こうという気になる。実家が福岡県なので正月は車で帰るかも」と話した。 三月下旬に始まった「上限千円で乗り放題」の地方高速道路の休日割引制度。長距離だと大幅値下げになるだけに、六月末までの週末や休日の交通量は地方の高速道路で前年比約一・四倍、本州四国連絡橋(三ルート合計)は約二倍に増えた。 走る車が増えれば、車から出る二酸化炭素(CO2)も増加する。今回の休日割引導入でゴールデンウイーク中の高速道路でのCO2排出量は六十六万トン増加した−。NPO法人「環境自治体会議環境政策研究所」の上岡直見主任研究員の試算だ。 六十六万トンというと、家電品の主電源をこまめに切る、冷房の運転を一時間減らす、車を急発進しないというCO2排出削減を、六百万人が一年間積み重ねた量に相当する。 上岡さんはさらに、民主党が掲げる「高速道路の無料化と揮発油税などの暫定税率廃止」を実施した場合、全国の高速道路などのCO2排出量が年間九百八十万トン増えるという試算結果も出した。 公共交通機関に比べ、乗用車のCO2排出量は多い。一人を一キロ運ぶときの排出量は、鉄道が十九グラム、バスが五十一グラムなのに対し、乗用車は百六十八グラムにもなる。 上岡さんは「政府の政策は、片方でCO2の排出を減らそうと言いながら、もう一方で増やしている。観光客などを増やすのに税金を使うなら、鉄道やバスなどの料金を安くする方がいい」と指摘する。 CO2排出量は、交通渋滞にも影響される。自動車の走行速度が時速八十キロから時速二十キロに落ちると、CO2排出量は距離一キロ当たり二百六十二グラムから四百十グラムに増加する。 冒頭の東名高速では朝から渋滞が多発。家族五人で静岡県焼津市に行く途中に渋滞に巻き込まれ、浜名湖SAで休憩していた愛知県一宮市の会社員大竹裕司さん(44)は「お金を出してもいいからスイスイ行ってほしい」と苦笑。前出の江口さんは「これだけ渋滞するとCO2もたくさん出るでしょうね」と話した。 高速道路四社によると、今年のお盆に発生した十キロ以上の渋滞は四百九十八回で、昨年の64%増となった。
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