【ワシントン=伊藤宏】民主党が総選挙で勝利したことを受け、オバマ米政権は朝鮮半島の非核化やアフガニスタン情勢、気候変動などあらゆる問題で、新たに発足する民主党政権と緊密に協力していく考えを強調した。総選挙の結果は米メディアでも関心を集め、「野党の勝利というより、自民党への否定」とする分析が目立った。
米ホワイトハウスのギブズ大統領報道官が30日、「強固な日米同盟関係と緊密な協力関係は、次期政権の下でも継続すると確信している」との声明を出したのに続き、米国務省も同日付の声明で「朝鮮半島の非核化、気候変動、エネルギー、アフガニスタン・パキスタン、人道・保健衛生といった問題で、日本の新政権と緊密に協力していく」と表明した。
ルース駐日大使も31日、「日米両国が直面するすべての問題について、日本の新しい政府との協力を期待している」との声明を発表した。
メディアの関心も高い。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、「日本の野党が地滑り的大勝利」とする記事を掲載。「この勝利は野党の信認というより、現政権への明確な否定と受け止められている」と指摘したうえで、「この国の伝統的に受け身な有権者たちが、自らの手で国をコントロールできることを示した活力あふれる瞬間」と評した。
ワシントン・ポスト紙(電子版)も「世界一の高齢化社会への不安、多額の財政赤字、高い失業率と経済不況。こうした失敗について、有権者は自民党と麻生首相を罰した」とし、「野党の勝利は魅力的な政策やカリスマ的なリーダーシップがあったからではなく、有権者が自民党から権力を奪い取ることができる唯一、可能な方法だったからだ」との見方を示した。