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今週の記事1本

こちらでは、カトリック新聞に掲載されている記事を、毎号につき1本お読みいただけます。


第9回FABC総会
聖体の希望 どう生きるか
アジアの司教ら 意見交換

【マニラ8月20日UCAN/本紙】8月10日から16日まで、フィリピンのマニラにアジアの司教75人をはじめ参加者117人が集まり、第9回アジア司教協議会連盟(FABC)総会が開かれた。日本からは司教協議会会長の岡田武夫大司教(東京教区)に加え、押川壽夫(那覇教区)、菊地功(新潟教区)両司教が参加した。 今回の主題は「アジアにおいて聖体を生きる」。半年以上前から事前準備が始まり、日本の司教団からも2回、意見書面が提出された。

日本から「自死」「多国籍化」など報告

 総会には、アジアからフィリピン・マニラ教区のガウデンシオ・ロザレス枢機卿ら6人の枢機卿も参列。またカザフスタンなど中央アジアの司教ら、インドの東方典礼カトリック教会からも代表司教が出席した。教皇庁からは教皇代理として典礼秘跡省前長官のフランシス・アリンゼ枢機卿、福音宣教省局長のロベルト・サラ大司教が出席。ほかに米国、カナダ、オーストラリア、スペインなどの司教協議会からも代表司教が参加した。
  本会議中は、各国から10分間の発表が続き、日本からは菊地司教が、日本の社会情勢、特に年間3万人を超える自死者を出している状況で、いかにして聖体が与えるいのちへの希望を伝えるか、また多国籍化する共同体の中で聖体を通じた一致をどう実現するか、といった点を報告した。
  各国の報告の中では、「小共同体の中で見られる刷新された信仰」「みことばの分かち合いの増加」「諸宗教対話への関心」といった“いのちを与える力”と同時に、「物質主義」「戦争や失業による不本意な移住に起因する家庭崩壊」「抑圧や死をもたらす孤独」「特に女性や子どもに対する差別」といった“死をもたらす力”について言及された。

 アジアの心に響く典礼を

 会議全体を通じて、「第二バチカン公会議によって始まった典礼刷新が、いまだその完成からかけ離れた段階にあり、また典礼が水平的広がり(現実への影響力)と垂直的広がり(神との神秘的結びつき)の両者において、いまだ広がりきれていないことなどの指摘」(菊地司教)が共通して出された。
  討議を基に最終文書の概要が承認され、11月に開かれる中央委員会で最終承認、発表の運びとなる。また最終日に発表された総会メッセージでは「宗教、人種、文化や言語、カースト(階層)による差別を維持、実践し、また放置したままで、私たちは聖体を祝うことはできない」と強調。さらに「典礼をアジアの心の奥底で響かせるため」アジア独自の象徴、旋律、価値観を用いるよう呼び掛けた。
  閉会ミサでアリンゼ枢機卿は、ミサにおける「適切な典礼の芸術」について強調し、特に説教や典礼中の踊りについて注意を喚起した。

 次回は創設40周年

 岡田大司教は会議を終えて、日本社会の“異常さ”が際だったと話す。「いくら景気が悪いとはいえ、生きがい喪失、人生の意味を見失っている人が多い」。さらにカトリックの比率が少ないアジア諸国においても、日本の比率は格段に低いと感じた。「改宗が少ない。宗教的寛容からか、所属意識も希薄」
  一方で、会期中の毎日のミサは2度、シロマラバルとシロマランカラの東方典礼で行われ「印象深かった」。15日の聖母被昇天の日は12グループに分かれ、マニラ市内の各小教区でミサをささげ、岡田大司教はスラムが広がるトンドの小教区に赴き、「本当に貧しい家に鈴なりに住んでいて、子どももたくさんいてみんな元気で明るい。暗い顔をして快適な生活を送っている日本とは大違い」と話した。
  次回、第10回大会はFABC創設40周年を迎える2012年に開催することが決定。場所は、ホーチミン市教区のファン・ミン・マン枢機卿の要請もあり、投票でベトナムが選ばれ、この結果を参考に中央委員会で最終決定される。




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