2月の浅間山(群馬・長野県境)噴火は、マグマの噴出ではなく水蒸気爆発だったことが、東京大地震研究所の田中宏幸特任助教(高エネルギー地球科学)らによる宇宙線ミュー粒子を使った火山内部のレントゲン写真の分析で判明した。
ミュー粒子は、宇宙線が地球の大気と衝突する際に発生し、X線など他の粒子が通過できない巨大な岩盤でも透過が可能。岩盤の密度によって透過量が変わる性質を利用して、火山内部のマグマの状態などを撮影する技術を田中特任助教のグループが開発した。
2月2日の噴火前後各1カ月間の内部画像を分析。地表付近へのマグマの上昇はなく、火口に堆積(たいせき)した古い岩石や土砂などが水蒸気爆発により吹き飛ばされたことが分かった。
田中特任助教は「ミュー粒子の連続観測で、初めて火山内のマグマや岩石などの移動状況を見ることに成功した。噴火予測へ向けた大きな一歩」と話している。【石塚孝志】
毎日新聞 2009年8月31日 19時03分(最終更新 8月31日 19時19分)