今回はいよいよ初公開 クロスポイントのキングコブラである。このキングコブラは、ベースのペン先の下に2枚のペン先を貼り付けたものである。
詳しい方は、クロスポイントにも表クロスと裏クロスがあることをご存知だろう。
表クロスとは、ベースのペン先の上(表)にもう一枚のペン先を貼り付けたもので、今回ご紹介した一連の<クロスポイント その1〜その3>がそれである。裏クロスとは、ベースのペン先の下(裏)にもう一枚のペン先を貼り付けたものだが、一枚ではなく、二枚のペンを貼り付けたものをキングコブラと呼んでいる。
ただし、裏クロスの場合は、ベースのペン先の先端部分の下に更にペン先が貼り付けられている為に、ペン芯上部を削り、加工して合わせなければならない。
《 調整万年筆の書き味 》 のページで申し上げた通り、ニブポイントの紙に当たる形状は、四角・丸・三角、更に四角の中でも、正方形・長方形というように、少々大げさに言えば、自由自在である。その形状により、書かれた文字の表情が全く変わるのである。どのような形状を好むかは、その人の好みであり、その人の書く字との相性でもあるだろう。
キングコブラの特徴は、紙に当たる部分のポイントの形状が三角形で、正三角形に近い形状になる。 クロスポイントのその2(Zure)は、三角形でも特に二等辺で、底辺が短い形状になる。
それぞれの形状で書かれる線の太さや、縦・横の太さのバランスがどのようになるのか、想像して楽しんで欲しい。三角形の底辺が短い形状のペン先は、「いり」「とめ」「はね」「はらい」の感じが最も出やすい形状である。
私の25年の万年筆生活の中で、クロスポイントとの出会いは衝撃的だった。これまでの万年筆の概念を変えてくれた。
これ程太いペン先を、誰が何の目的で使うかという命題に、ぶつかるところはある。しかし、この書き味を多くの方に、味わって欲しいと思う。現在、長原さんが大変お忙しく、新たにクロスを作っていただくことが難しい状況にある。フルハルターに在庫があるので、興味のある方は、是非書き味を体験してみてください。
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