ペン先を研ぎ出す、ということについて、これまで文章や写真で説明してまいりましたが、ここでは実際のところどのような書き味になるのか、調整された万年筆を実際おためしいただいたお客さまからのおたよりをご紹介したいと思います。必然的にお礼の述べられたメールの羅列となってしまいますが、聞いていただきたいのは店主の自慢でなく、オーナーの方の万年筆への愛情のこもった声であり、何よりも見て感じていただきたいのは羽がはえたようにかろやかに紙の上をすべる、生き生きとした万年筆の姿です。万年筆とは本来そういう道具だということをおわかりいただきたいのです。
そもそも “森山モデル” と呼ばれているものは、「森山が調整した」という意味で、画一的なある一定のモデルを指すわけではありません。初心者の方にもわかりやすく説明しますと、ニブポイント(ペン先)拡大写真のページでご覧いただけるように、研ぎ出す前のニブポイントは上から見れば長方形に近く、そのままの状態では縦線が太く、横線が細く筆記されます。万年筆を調整するとは、これをお客さまの筆記角度やお好みに合わせて、最も書きやすい形状に研ぎ出すことで、EFから3Bまで、太字でも極細字でもいかような太さでも可能ですし、形状も「丸形」以外に「三角」「四角」とさまざまな形に研ぎ出すことが出来ます。その形状は千差万別多種多様で、「これ」と固定されたものでなく、書いた感じも、たとえば縦線と横線の太さなど、限りなく同じに近づけることも出来れば、その逆の場合も可能、と実にさまざまです。
もちろん一度の調整でしっくりいかない場合もありますが、その場合はお客さまに納得いただけるまで何度でも調整いたしております。
料理店にたとえて言うならば、通常の料理店はそれぞれのお店にその店独得の
“店の味” というものがあり、塩加減はこう、砂糖の量はこれだけ、だしはこれ、などといったこだわりがあります。しかしフルハルターは、味付けの決まった料理をお出しするのではなく、お客さまのお好みで味付けされた料理をお出しする一風変わった料理店です。お客さま自身のお好みに合わせて厨房で調理するのです。
ただし、上で申し上げたように、ニブポイントの研ぎ出しというのはどのようにも調整することができるので、その中でお客さまが一体どういった書き味をお望みなのか、これを知るのにはある程度時間を必要とする場合があります。難しいのは、お客さま自身がご自分の好みを明確にご存知とは限らないということです。お客さまご自身がわからない、表現できないことを、こちらでは知りようがありません。お渡しする時には最上と思われる調整でお出ししますが、その後はやはり一定期間じっくりと万年筆と向き合い、ゆっくりと書き込んでいただくことが必要です。また何回もお店に足を運んでいただき、話をしたり、いろいろなサンプルをお試しいただく、そういううちに「あぁ、この方はこういう感じがお好みなのか」「この方にはこういう感じの方が合うかもしれない」ということがだんだんとわかってきて、「この方には塩味を加えてお出ししてみよう、砂糖味を加減しよう」となるわけです。
以上、おわかりいただけましたでしょうか。心をこめて調整した万年筆を喜んでいただけるのが、私にとって最高の喜びです。すべてをご紹介できないのがとても残念ですが、調整された万年筆の書き味について、読まれる方も楽しい気持ちでご覧下さい。
本日万年筆がとどきました。さっそくインクを入れて書いてみました。なんていいますか、非常になめらかでひっかかりがなく自分のもっている万年筆は何だったんだろう、万年筆が人々を魅了する理由は、ここにあったのか、という感じで、ある意味ショックで、かつ感動に浸っております。高いお金を出して買った価値があるというものです。なんか、ますます万年筆にはまってしまいそうで、怖いです。末永くこの万年筆を愛用させていただくとともに、勉強の方にも精進していきたいと思っております。
どうも、ご無沙汰しております。調整していただいたアウロラ88ですが、無事日曜日にこちらに到着しておりまして、早速使わせていただいております。とにかく同じペンだとは信じられないような仕上がりで、聞きしにまさるとはこのことと思っております。このなめらかさには全く参りました。一月ほどは様子を見てくださいと言われましたが、今のこのペンでも十分に満足しております。
昨日シルバーのペン、確かに受け取りました。お世話になりました。感想は、ありきたりですが、驚きました。これまで語り尽くされた表現を体感しました。ヌラヌラ、頭を殴られる衝撃、……。クロスポイントを使うと、他のペンはすべて細字ですね。Mだろうと、Fだろうと、Bでも大差ありません。ようやく、納得できる、宛名書き用の太字が見つかりました。早速たくさん使いたいのですが、講義ノートや会議のメモにも、太すぎるかも知れません。とにかく大きな字で、紙を浪費しながら、たくさん書いてみます。龍の彫金は、すばらしいの一言です。名前は、さらに気に入りました。これから使い込んで、バリがなくなるくらい使ってみます。最後にペン先ですが、しっかり持てば,ぴったりの角度です。ただし、ペンのバランスの好みからすると、少し後ろ気味に持つようなので、ペン先の角度が少し気になりました。いずれにしても、とても満足しています。とてもメールでは語り尽くせません。お会いしてお話ししたく思います。本当に魅力的なペンを頂戴し、感謝しております。同封いただいた手紙、宝物になりそうです。次はあの太さもおもしろいと思っています。
御店で育ててもらったペリカン♯400ですが、使い始めてから二か月になります。毎日愛用しています。最初の一か月くらいは、免許取り立てで高級車(ドイツ車ですから外車ですね)に乗っている感じでしたが、このごろやっと少し手になじんできました。とてもうれしいです。それで、「再調整」していただけるとのお話でしたが、実は少し字幅を太く、柔らかくしていただけないかなと思っております。ですが、一度細くしてもらったのを少し太くするというのは可能なのでしょうか?御返事お待ちしております。
本日、ペリカン800がとどきました。おそらく、この書き味をデパートの試し書きで体験していたなら、迷うことなくその場で購入していたでしょう。驚きました。わたしの、一生の宝物として大事に使わせて頂きます。ありがとうございました。余談ながら私の祖父は、唐津焼きの絵付けしをし、私も大学では彫刻を勉強していました。いい仕事や、いい作品は愚直に、誠実に、かつねばり強く行わなければけっして生まれるものではないことをつたない体験から知り、そして教えられました。森山さんの仕事から誠実さと、真面目さを感じました。これからも、多くの人に、この誠実さを分かち与え続けていってください。
送っていただいた146ですがアウロラと一緒に仕事で殆ど毎日使わせて頂いています。全く別物のような感じさえします。角度的に決まったときにペン先の流れることといったらすごい物があります。ただ、ドンピシャの角度が若干今持っている角度より多少書き手側に捻り気味の角度なので、まだ、私自身がペンになれきれるまでもう少し時間が掛かりそうな気がしますが、様子を見させていただます。いやあ、本当に森山さんに調整していただいた146というのはかくもすごい物だとはびっくりしました。今度は行くときは今メインで使っている最後の1本のペリカンの1000の調整をお願いさせていただこうと思いますので、またよろしくお願いします。ただ、つぎはやっぱりもうちょっと線が細いアウロラか146が仕事用に欲しいなとか色々欲がでてしまってきまして、煩悩と戦っております。
先日、調整販売していただいたペリカン800の3B、土曜日以来毎日のように使っていますが、万年筆自体のバランスや青縞の気品のある色合い、そしてある程度の重さがあり、それ以上に調整していただいた3Bの滑るようなヌルヌル感……あらゆる意味で、とっても快適です。ありがとうございました。そうそう、わざわざ手書きの絵入りでご案内いただいたあのイエローゴールドの1931以来、そのバランスと書き心地に、モンブランにかなり傾倒していた私の心は、ここ最近、ペリカンにかなりウェイトがシフトしてきているようです。モンブランは今でも好きなメーカーですし、信用も大きいのですが、何と表現したらよいのでしょうか、モンブランは少し貴族になりすぎましたね。私としては、何となく「基本を忘るべからず」という言葉をかみしめてしまいます。
調整して頂いたペリカンM300は、とても調子が良く調整に出す前に感じていた書き出しのかすれによるストレスが嘘のように消えました。意識して書くよりも無意識に書いている方が、より滑らかに感じるのは森山さんがおっしゃっていた通り、メモをとっさに書く時の筆記角度がじっくり構えて書くときの角度より、立てているからなのだということで実感できました。そこまで読んで調整されるというのは一流の職人だからこそ、成せる技ですね。調整して頂いたM300は一生大切に使います。146の方の出来上がりも楽しみにしております。
今日で3日間の模試が終わりました。3日間通してセーラーを使用しましたが、こんなにすらすら書けて良いのか、と思うほど書き易かったというのが最大の感想です。どうもありがとうございました!とにかくスラスラ書けることに、半分カルチャーショックを受けた感じです。最初は今までの癖が出て、手に力が入りいびつな持ち方になりがちでしたが、3日間使う中でかなり手から力が抜けてきて慣れてきたような気がします。インクの量も、2時間びっちり書いてカートリッジの85%程度なくなるくらいでした。少しもったいない気もしますが、試験のときは1科目ごとに取り替えればよいと思いました。今回気づいたことは、今まで私は試験のときは、ガツガツ書きながら、その感触を手に受けながら頭に刺激を送っていたのだなということでした。そういう意味でいうと最初は若干の戸惑いもありましたが(つまりあまりにもスラスラ書けるので)、大分慣れてきましたし、それ以上に書き味の快感の方が強いです。インク途切れはほとんどなかったので問題ないと思います。ただ、若干迷っていることがあります。それは、試験用としてはもう少し(ほんの若干)細い方が良いのかなという気もすることです。しかし一方では、ペン先を少し細くすると書き易さが落ちてしまうのではないか、今回も手から力を抜いて書くことである程度字を細く書けるようになったので、もっと慣れれば大丈夫ではないか、という気もあることです。森山さんのアドバイスやご意見があればお聞かせいただけませんか。2週間後にまた模試がありますので、その時に使った感じでまた考えようとは思っていますが。
本日、ペリカン400が届きました。早速のご手配、ありがとうございました。仕事中にもかかわらず、いても立ってもいられなくなり、仕事にかこつけて、試してみたのですが、今までの万年筆と、少ない筆圧でのインクの量が全然違うように思われます。かすれることなく、少ない筆圧で、大量の文字が書けるようです。ペリカン1000の「森山スペシャル」が夢です。自分のサインに対する責任が重くなるよう、何とかがんばって入手したいと思います。その節は、よろしくお願いします。
本日で、わたしとモンブランの2日目の生活が終わった訳ですが、本当にすばらしいです。こんなに「文字を書くこと」が「楽しい」のは始めての経験です。長い事、書くのをおサボリしていた日記も再開しました。5年日記というのをご存知ですか? 1ページにとある日付を5年分書ける日記帳があるのです(他にも、3年日記や、10年日記があります)。去年の母の日から付けていたのですが、最近では忙しさにかまけて半年近く中断していました。久しぶりに開いた日記にモンブランで文字を書いて行くと、インクが乗っていく感じや染み込んでいく感じがとっても素敵でした。去年の昨日の日記の文字はボールペンで、どこを取っても同じインクの濃淡。しかし、今年は違うのです。文字によって違う、このインクの濃淡がとても素晴らしい。本当に楽しいのです。比べ物にならないんです。ワープロを使って文字を書くことばかりのこの毎日で、漢字も忘れてしまっていたり、間違えた文字は消せなかったり、文字を書くというのは少しもどかしいけど、焦る必要はない。寝る前のひととき。じっくり一日を振り返って紙にインクを乗せていく。そんな時間ぐらい作ってゆきたいな、って思って居ます。日記はあと4年分しか書けないけど、これからあのモンブランで毎日書き続ければ、4年分の思いでと一緒に、ペンの成長ぶりを追跡できるんですよ。こんなに万年筆が「いとおしいもの」に思えているのは森山さんのおかげです。ありがとうございます。また遊びに行かせてください。そして、万年筆の素敵なお話を聞かせてくださいね。もっと、もっと万年筆を好きになれそうな気がしています。
75周年記念146の調整、ありがとうございました。非常に滑らかで、聞いてはいましたが、驚いています。こうなると、他の万年筆がザラザラに感じてしまいますね。書くのが楽しみになっています。会議が少し減ったのが、残念に思えるほど。先日、早いスピードで書き取らねばならない機会があったのですが、インクの流量がちょっと少ないのかなと感じるのですが、どんなものでしょう?
ちょっと休んで再び書きはじめるとそうは感じないのですが、書き続けると減ってくるということはあるのでしょうか。Bのニブですが、他のモンブランのBと比べて細い気がします。しかし、「万年筆というのは、本当はこういう感触のもの」という気がします。この滑らかさを楽しむため、メモにまで引っぱりだして使っています。
先日、万年筆の調整をしていただいた者です。スラスラ書けるを通り越して、ヌルヌル書ける(これは、私の万年筆に対する一つの問いかけなのでですが)こと、非常に満足しています。本当に有難う御座いました。今まで、自分にとって本当に書きやすいものを探して、いろいろ試行錯誤しながら、何十本も万年筆を購入してきました。握りや、書き味等何となく気にいっては、いたもののどうも今一つ納得できないでいました。でも、今回森山さんに調整してもらってから、「これが私のお気に入り」となりました。調整していただいてから、すぐ、何度も書いてみました。正に私にとっての究極の一本(本当は2本調整してもらったので究極の2本ですが)。これは、私にとってかけがえないのない1本?2本かも。本当に有難う御座いました。また、別の1本を持ってお伺いしたいと思います。そのときもまた、究極の1本?(3本目)となることを楽しみにしています。私は、これを「森山マジック」と呼んでいます(失礼)。
この度は万年筆の調整をしていただき、また早速にお送り下さいまして、誠にありがとうございました。丁寧な自筆のお手紙まで頂戴して、恐縮です。素晴らしい緑色のインクですね! どの万年筆でお書きになったものでしょうか? 随分柔らかく、腰のあるペン先だと思いますが……。差し支えなければ是非、お教え下さい。
さて、高まる胸の鼓動を押さえながら、まず#1000を手にしてインクを入れ、書き始めたところ……、素晴らしい!!! まさに「ぬらぬら」の極致です。興奮冷めやらぬ状態のまま、失礼ながらルーペでペン先を「Mスペシャル化」していない3Bと比較してみると、その形状が全く違うことがよくわかります。細かい文字を書くことが多くないワタシには、まさに「究極の1本」になるような気がします。また、1931の方も、全く別物のようになって帰ってきました。納得いかないまま、嫌々使い続けるより、森山様に調整していただくことがいかに良いことなのか、思い知らされた感じがします。今回の調整によって、ペン先調整の魅力を改めて教えられたような気がします。また上京する機会がありましたら、是非ともお店の方にも寄らせていただきます。本当にありがとうございました。今後とも、どうぞ宜しくお願いします。
3本の万年筆が宅配便にて無事届きました。早速取り出して、まずマリーンブルーの見事な軸に見ほれてからペン先をルーペでしげしげと観察。本当に滑らかに仕上げられていてため息が出ました。インクをつけて書いてみて滑らかさを実感。感激いたしました。本当に縦横とも線が同じような太さになるのですね。ペリスケの方も同じように試筆。ペン先の弾力といいますか、”腰”のようなものの違いがはっきりわかりました。未調整のペンでは、ペン先と紙のすべりの方をより強く感じてしまい、ここまでのことはわからないと思います(少なくとも今まではそうでした)。すばらしいペン先に仕上げていただき、本当にありがとうございました。森山様がおっしゃられたように本当の良さは、ペンがインクになじんでからあらわれてくるものと思います。どんな顔があらわれてくるか楽しみに、しばらく書き慣らしていこうと思います。そのうちに、今持っているペンの調整をお願いしたくなると思います。どのペンをお願いするかじっくり考えて、決まったら連絡をいたしますので、またよろしくお願いいたします。
M400本日受取りました。時間がかかるとのメールを頂いておりましたので、少々時間がかかることは覚悟していましたが、一刻も早くあの素晴らしい書き味と体面したく、到着まで随分と長く感じられました。届くとすぐに山のように試し書きをしてみましたが、「素晴らしい」の一言です。これまで経験したことがない滑らかな書き味、望んでいた通りの線の太さ、バランス、……今の私には理想的な筆記具に仕上がっています。
森山さんのアドバイスが(当初は本当にそれだけでわかるの?と若干疑いもありましたが)適切であったことを痛感しました。有難うございました。これから使い込んでいきますので、今後もアドバイス宜しくお願いします。
本日、調整をお願いいたしましたモンブラン149、2本とペリカン800の計3本が、無事に届きました。いずれのペンも、すばらしい仕上がりで、お願いしたときに感じていた違和感が、全くなくなりました。ありがとうございました。
ペリカン800は、どの方向への運筆でも全くインクが切れなくなり、本来持っているペン先のしなやかさを指先で十分に味わうことができるような気がします。モンブランと比べると、しっとりとして優しい豊かな書き味のように思います。
モンブラン現行149は滑らかにしていただき、渋かったインクフローも若干良くなったような気がします。足腰のしっかりした手応えで、乱暴な扱いにもへこたれないぞ、という気がします。サスペンションを固めた競技車のような印象でしょうか。これから、ガシガシ仕事に使っていきたくなりました。
旧149が一番劇的に変わりました。引っかかりが全くなくなって、すごく滑らかになりました。ルーペでペンポイントのイリジウムをしげしげと眺めると、かなりアンバランスだった(体積で倍以上違う印象でした)、左右のイリジウムがそろっているではありませんか。切り割りがわずかによっている分、若干の幅の差があるように思いますが、よくよく注意して見ないとわかりません。それだけ削っているはずなのに、ペンポイント全体の形はとてもきれいで、筆記面が広く、線も細くなっていません。その上筆記角の許容範囲も広くて、まさにマジックを見るようです。小さなFのペンポイントをこれだけ精妙に仕上げるには、ずいぶんと時間をかけていただいたのではないでしょうか。すばらしいお仕事に感謝いたします。本当にありがとうございました。
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