今後30年間に70%の確率で起こり、最悪1万人以上が死亡すると国が想定する首都直下地震。これまでは、早朝夜間の地震での被害想定に焦点があたってきた。ところが、内閣府が半年前に出した最新の報告などで、平日白昼の地震を想定したところ、巨大都市特有のより深刻な事態が生じることが明らかになってきた。高層ビルのオフィスでは、多くのけが人が発生。エレベーターは停止し、“閉じ込め”が多発する。救急隊は期待できず、一般の人が救出にあたらなくてはならない。さらに、企業の操業停止で経済は長期低迷。住宅地では家やマンションの使用が困難となる。企業と人口が集中する東京の“機能停止”は、日本の経済、社会を脅かしかねない。
人々は、企業は、社会は、生き延びることができるのか。最新の研究から被害の全体像を明らかにし、サラリーマンとその家族の目線で被災の困難さを描く。対策に取り組む現場への取材、被害想定のミニドラマなどを通して、首都直下地震の脅威に警鐘を鳴らす。
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