きょうのコラム「時鐘」 2009年8月31日

 自民党が、ぶっ壊された。過去の実績も伝統も、そして戦後日本を支えてきた自負も一顧だにされず粉砕されたに等しい。有権者の選択は残酷である

開戦前から勝敗は分かっていた、とはいえ、これは「革命的」といってもいいだろう。戦い終わり日が暮れて、首相経験者や党幹部、小泉チルドレンが死屍累々(ししるいるい)と重なる無残な「関ケ原」を見る思いである

が、革命の歴史は権力を奪った側にも残酷であることを忘れてはなるまい。古今東西、権力奪取した直後から革命軍には内部闘争の嵐が吹き荒れる。民主党は、敵失で転がり込んだ政権であることを念頭に謙虚に足場を固めなくてはなるまい

この歴史的大勝は4年前に小泉劇場に熱狂し、自民に300議席を与えたのと同じ有権者が出した結果である。有権者はバランス感覚を持っているというが、バランスを通り越して振り子が振り切れるほどの揺り戻しだった

二大政党政治が定着するまでの試練なのだろうか。新時代の入り口か、混迷の始まりなのか。戦後政治の歴史的一瞬を見た興奮以上に、次の揺り戻しと明日の日本の政治が気がかりだ。