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《最高裁国民審査アンケート》竹崎博允氏

2009年8月24日0時10分

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写真竹崎博允氏(08年11月就任。65歳)=最高裁提供

 (1)中立、公正な立場で、正しく事実を評価し、歴史の中で築き上げられてきた健全な価値に従って判断したいと考えている。

 (2)変化が著しく、利害の対立も厳しい情勢のもので、個別の事件を通しての判断であるが、すべての国民が安心して生活できる指針となるような裁判であろう。

 (3)豊かな人間性、社会、歴史に対する洞察力、優れた法律技術といった三つの要素をバランスよく兼ね備えていること。

 (4)、(5)いずれも審査を受ける立場であるから、意見は差し控えたい。

 (6)現在でも、判決書中の意見やいろいろな機会に話される内容によって判断の材料がないわけではない。ただ、それらが国民に現実感を持って受け止められるためには、裁判そのものがもっと国民にとって身近な作用として理解されるようになることが必要であろう。その意味でも、裁判員制度の導入により国民の司法に対する関心が高まることは有益である。

 (7)裁判員制度は、大きな意味のある半面、国民の負担も大きいことは間違いない。とりわけ発足当初は、様々な混乱が予想され、制度に対して安定した評価ができるようになるまでにはかなりの期間が必要とされるであろう。短時間で答えを出すのではなく、運用の過程で生じてくる問題を丁寧に見直し、長い目で育てていくことが必要である。

 裁判官と裁判員との関係でいうと、両者の間に自然な信頼関係が作られ、率直で建設的な意見の交換が行われることが重要である。

 (8)精神的に、生活の上でも負担の重い制度であり、できれば参加したくないという気持ちになるのは自然なことである。ただ、最新の調査では、義務であるから行かなければならないと思うという人を含めると7割を超える国民の参加が期待できるということのようである。今後、実際に参加した人の意見や感想が広く伝わることによって、制度に対する理解もさらに進んでいくと思われる。

 (9)量刑については、検察官、弁護人、被害者らが、それぞれの思いを持っている。判断する際には、その意見の違いがどこからきているのかということを理解することがまず必要であろう。量刑がこれまでと変わるかどうかは一概にいえないと思われる。

 (10)死刑の判断については、これまでも絶対的な基準があったわけではなく、永山事件で示されたのも判断に当たって考えなければならない要素である。これらの点については、今後の裁判員制度のもとでも重要な判断の視点になるものと考えている。

 (11)事件の内容を正確、迅速に国民に伝えるというメディアの役割と、その後の裁判に不当な影響を与えないという二つの要請をどこで調和させていくかという問題である。今後の実情、報道の実態とこれに対する裁判員の意見などを聴きながら考えていくことが必要であろう。

 (12)死刑、終身刑といった究極の刑についての立法は、社会、国民の価値観と直接結びつく大きな問題である。現に制度としてある法を運用する立場にあるものとして、それについての一般論を述べることは差し控えたい。

 (13)裁判の迅速化は、どこの国でも、またいつの時代にも問題とされてきたところである。その意味では極めて重要なことであり、また容易に実現できないことでもある。裁判に求められる内容の正しさを確保しつつ、迅速を実現していくためには、法曹三者の共通の理解と協力が何よりも重要であるが、さらにはその認識を社会が共有することが不可欠である。

 (14)裁判すべてについていえることであるが、裁判官は自分の信ずるところに従って判断をしているはずである。憲法は国の最も基本的な法であるから、慎重、多角的に検討することはあるであろうが、必要に応じて憲法についての判断を行ってきたものと考えている。憲法改正は、究極の立法の問題であり、発言は差し控えたい。

 (15)いまだ係属中の事件であり、詳細は控えたいが、これまでの情報によれば、刑事裁判の本質にかかわる問題として、真剣に検討すべきだと考える。その方法、広がりについては、裁判後の問題であるが、できるだけ広い視点に立って、裁判と科学、技術の在り方全体について建設的な方策を検討することが必要である。

 (17)歴史上好きな人が多いが、尊敬というよりはもう少し客観的な評価にとどまるように思われる。

 (18)趣味は園芸、読書、音楽を聴くこと。特別な座右の銘のようなものはない。思考に当たっては、健全な懐疑心を持ち、多角的に検討したうえ、人類の到達した普遍的原理に従って合理的な結論を出すことを理想と考えている。

 (19)サイモン・シンの一連の著作。自然科学の解明の歴史を、分かりやすく説明し、次第に真理に近づいていくプロセスは迫力に富んでいる。

 塩野七生「ローマ人の物語」「ローマ亡き後の地中海世界」文明の興隆、没落の過程を、内部的、外部的要因から解明し、人間社会の持っている一般的な傾向、特徴を考えさせる。

 (20)具体的事件についてコメントすることは控えたい。

 (21)園芸をはじめできるだけ自然に触れて精神的にリフレッシュすること以外には、特別のことは行っていない。

 (22)特にこれ一つという事件はない。

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