桜井龍子氏(08年9月就任。62歳)=最高裁提供
(1)最高裁裁判官としての重責を十分認識し、自己研鑽(けんさん)に努め、公平、公正な判断を行うよう心して参りたい。
(2)立法や行政で実現しがたい個別事案の適正な解決、そしてそれを通じての社会正義の実現。
(3)幅広い人間性、深い洞察力が必要。そのため多様な人材で最高裁が構成されることは重要なことであると思う。
(4)これまでの仕事の実績、このようなアンケートを通じてうかがえる私の人格などを参考に、それぞれのお考えでご判断いただきたい。
(5)審査をされる側であるからコメントは差し控えたい。
(6)国の機関が国民に対する説明責任を果たすべきことは言うまでもないこと。裁判については、判決を通じて説明責任を果たせるよう努力したい。司法行政については情報公開制度などを通じ可能な限りの情報提供に努めて参りたい。
(7)先進各国と同じくようやく国民の司法参加が実現されたもので、戦後民主主義体制の画期的前進である。法曹三者が足並みをそろえ、十分な準備のもとスタートしたものであり、今後どのように育てていくかが重要な課題である。
(8)最近の調査ではむしろ消極的な回答がぐっと少なくなっていると思う。いずれにしろ大変重い制度であるので、実際に裁判員を経験された方々の感想などを十分踏まえ、建設的かつ実証的な議論が行われることを期待する。
(9)量刑をどうするかは、この社会のルールをどう作るかにかかわることであり、構成員としての国民の目でしっかりと判断していってもらいたい。これまでの量刑は十分参考にすべきものではあるが、絶対的なものではない。
(10)死刑の判断はいずれにしろ大変難しいものである。永山基準も参考にしながら個別事件の証拠などをもとに、裁判員の方々に納得いくまで議論を尽くして結論をまとめていただきたいとお願いするのみである。
(11)特に意見なし。
(12)死刑制度の存廃は、国民の選択にまかせるべきもの。審理にあたっては、先例と良心に従い、慎重に判断することが必要。
(13)何事も紛争の解決は迅速に行うことが肝要であり、そのためには人材の確保・育成が必要である。
(14)最高裁の歴史をひもとくと、その時代その時代にふさわしい憲法判断が出ている。最近でもその姿勢は変わらないと思う。憲法改正については、各方面で活発に議論が行われていることを注目している。
(15)係属中の事件であるのでコメントは差し控えたい。一般論としては、誤判はあってはならないことであるから、起きないような方策の検討は、裁判官自らが率先して行うべきことと思う。
(16)立法問題であるので、コメントは差し控えたい。
(17)勝海舟。幕末の混乱期に、幕臣の身であるにもかかわらず、常に幕府、あるいは日本国を客観視し、責任論理に基づく対応を実行し得たこと。
(18)趣味はスキー、山歩き、陶芸。好きな言葉は「一所懸命」。
(19)『金子みすゞ童謡集』。真昼の星のような見えないものへの視点、大漁を鰮(いわし)のとむらいとみる人間中心でない視点などを教えられ、これらの詩との出会いがまたひとつ人生を豊かにしてくれた気がする。
(20)まだそれほど多くの事件にかかわっていないので、特段のものはない。
(21)仕事のオン、オフの切り替えをはっきりさせ、オフの時は野山をかけめぐって、もっぱら心身の健康維持に努めている。
(22)男女別定年制を公序良俗違反として無効とした1981年の最高裁判決。男60歳、女55歳という5歳の差を無効と判断したことが、当時の社会意識に与えた影響は大きく、後の男女雇用機会均等法の制定につながっていった。時代の流れを的確にとらえた画期的な判決である。