近所に小さな中華料理屋があります。
知る人ぞ知る有名店です。
「週間朝日」や「女性自身」など多数の雑誌で紹介され、いつも大勢の行列です。
ところが、味も値段も量も、どちらかというと普通なのです。店内はこぎれいですが、けっして立派な建物ではありません。
店はご主人とおかみさん、若い店員さん2人の合計4人で切り盛りしています。
なぜこんなに繁盛するのだろう? 以前から不思議でなりませんでした。
味はたしかにいいのですが、それほどまでに大繁盛する理由が見つからないのです。
数日前、初めてその秘密の一端が判明しました。
おかみさんはたぶん50代だと思うのですが、その声の響きがものすごくいいのです。見た目は普通のおかみさんなので、なかなか気づきませんでした。
文字通り、鈴をころがすようなツヤと輝きのある声なのです。それでいて深い味わいを感じさせるような声です。
若い頃の島田須美さん(ナウシカの声優です)の声に、温かみを加えたような感じです。
「いらっしゃいませ!」「ありがとうございます!」「ラーメン一丁!」
おかみさんの通りの良い声が店内に響き渡るたびに、さわやかな風が吹き抜ける感じです。
金色の鈴をコロコロと鳴らすような、なんとも気持ちのよい声です。
おかみさんは、炎天下の外で待っている人に冷たいタオルを配ったり、店内の客にお冷を注いだり、ものすごく気配りが行き届いてます。
たった4人で大繁盛店を切り盛りしているので、ものすごく忙しそうなのですが、いつもにこやかな笑顔です。だから、どんなに店内が混雑していても、とても居心地がいいのです。
この方が大繁盛店の幸運の女神さまなんだ…そんな気がしました。
こういう小さなところから、弥勒の世が始まっているのかもしれませんね。
追伸:
いつもお越しいただきありがとうございます。次回は週末にアップします。