「不採用の理由はお答え出来ない」理由
RMロンドンパートナーズ(㈱RML慶文堂) 代表取締役/東京工業大学特任教授
あらゆる就職活動(新卒・転職)をしていて100発100中で合格・採用をゲット出来る人はいません。普通は採用される率より、不採用となる率の方が高いでしょう。特に昨今の経済状況では。
そしてまた今回の応募はちょっとキビシいかな、とわかってのものだとしても、「不採用」という結果はやっぱりへこむものです。まして第一志望、強い志望動機を持っていた先に落ちるのは誰でも落ち込みますよね。
転職紹介の面談ではなく、有料のキャリアカウンセリングを受けに来る方が増えています。人材会社の転職前提面談は、案件枯渇により限りなく数も減っており、そもそも面談すら断られることが多いからでしょうか。これは実際には断られるというより、「来ても紹介案件がない」というのが実情なのだと思います。
キャリアカウンセリングでは「なぜ落ちたのか」「何が悪かったのか」考えたいというご希望をよくいただきます。こちらもプロとして、人事・採用側の視点でご一緒に求職活動を見直してみると、案外自分では気付かないNGにたどり着くことがよくあります。
一方で「なぜ落とされたか知りたいので、会社に問い合わせたい」という要望も聞きます。
さて、会社は「不採用の理由」を教えてくれるのでしょうか。
私が顧問をさせていただいている企業さんには、人事専任者がほとんどいない中小企業も多くあります。一般的にも企業の規模に関わらず、「不採用理由は開示しない」のがほとんどです。
私も経営効率という視点から、「不採用時も理由はお答え出来ません」という明示を、募集において行うべきだとお勧めしています。
なぜでしょう。
「選考が合理的な理由『だけ』で行われる訳ではないから」です。
つまり恣意が大きく影響するのです。簡単に言えばAさんとBさんでは、「『何となく』Aさんが感じが良い」という理由でAさんを採用した場合(よくあることです)、Bさんに「なんとなくあなたじゃない方が良かったので」とはお伝えできないのです。
もちろんそんないい加減な理由ではなく、学歴とか社歴、有名企業にいたとか、高度な専門性のある職に長くいたとかいろいろな視点が、各企業ある訳で、「あなたの大学は有名じゃないのでNGでした」とはこれまた言える訳ないのです。
年齢も理由になります。改正雇用対策法によって、年齢による採用制限は出来ないことになりました。しかし現実には限りなく多くの採用において年齢による選考は行われているのが事実です。
例えば募集部署の長が35才として、その管理者の方が部下を採用するのに自分よりかなり年上の方を敬遠する、というのはそれほど異常な感情ではありませんよね。
「使いづらい」と感じるのはその管理者の方であり、結局何らかの理由をつけて不採用になる、というのが実態としては多く見られるのだろうと思います。
「採用にビジュアルは影響しますか?」ともよく聞かれます。
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