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岐路の夏:09衆院選 最後の夜、池袋対決(その1) 自・民、党首舌戦

 ◇1万人超、期待に沸く

 自公政権の継続か、政権交代か。衆院選の選挙戦最終日となった29日夜、各地の激戦区では、大物たちが声をからして支持を呼び掛けた。麻生太郎首相と民主党の鳩山由紀夫代表は、ともに東京・池袋を最後の遊説地に選び、駅を挟んだ至近距離での対決で攻防を締めくくった。いよいよ迎えた選択の時。一票を投じる有権者も、最後の訴えに耳を傾けた。【林哲平、山本太一、渡辺暢】

集まった有権者に最後のお願いをする麻生首相(左)と候補者の力強い演説にガッツポーズする民主・鳩山代表=東京都豊島区の池袋駅前で2009年8月29日、佐々木順一撮影
集まった有権者に最後のお願いをする麻生首相(左)と候補者の力強い演説にガッツポーズする民主・鳩山代表=東京都豊島区の池袋駅前で2009年8月29日、佐々木順一撮影

 麻生首相は東京10区から出馬している元環境相の小池百合子氏(57)の応援のために、JR池袋駅東口に駆けつけた。約6000人の聴衆であふれ返る中、水色のシャツ姿の麻生首相は午後7時36分から約10分間、マイクを握り「戦後の安全な社会を作ったのは自民党だ」と実績をアピール。最後に「日本の未来を明るく豊かにするのはどこか。自由民主党だ。麻生太郎がその責任をとります」と締めると「麻生」コールがわき上がった。

 小池氏は「私には夢があります。I have a dream」と英語を交えて演説。「私は今後も働き続けたい。よろしくお願いします」と頭を下げると、聴衆から「百合子、愛してる」と絶叫が響いた。首相の演説を聴いた豊島区の自営業の男性(70)は「国を守れるのは自民党だけ。小池さんの行動力には期待が持てる」と話した。

 「歴史を塗り替えるには勇気がいる」。麻生首相の演説が終わるころ、鳩山代表は駅の反対側にある池袋西口公園で声を張り上げた。周辺には約5000人が集まり、バスの進入路と車道を隔てる分離帯の上にも聴衆が連なった。

 テレビカメラ用のライトやフラッシュが一斉に光り、「次期総理」「政権交代」と声が飛ぶなか、鳩山代表は現政権を「官僚任せ」と批判。「8月30日という日が、5年後、10年後に『この日から日本の政治が変わった』と思ってもらえる時が来ると確信している」と強調した。小池氏に挑む新人の江端貴子氏(49)も「大きなお金の流れを変えるのが民主党の政権交代」と訴えた。

 豊島区内の主婦、松崎久子さん(60)は「民主党は政策を勉強しているイメージがあり、足りないのは経験。やりながら学んでほしい」と期待を込めた。

 共産新人の山本敏江氏(60)も午後6時ごろから、池袋駅西口で演説し、「国民の生活を壊した自公政権は退場を」と訴えた。

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 ◆皆様に育てていただいた/何とか勝たせて/心が折れそうに

 ◇東京5区

 岐阜1区からくら替えした自民前職で「小泉チルドレン」の佐藤ゆかり氏(48)は、目黒区の東急自由が丘駅で最後の街頭演説をした。駅前を囲んだ聴衆に端から端まで笑顔で握手。「元エコノミストとして日本の経済成長の仕事をしっかりとさせてほしい。成長戦略策定のため汗をかきます」と、絶叫調で専門家の肩書をアピールしていた。

 民主元職の手塚仁雄氏(42)は隣の都立大学駅に蓮舫参院議員と立った。「浪人生活最後の演説です」と切り出し、「宙に浮いた年金を徹底的にやる。民主党政権で決着をつける」と宣言、拍手を浴びた。共産新人の宮本栄氏(47)と、幸福実現新人の木下真氏(31)も立候補している。

 ◇岐阜1区

 自民前職で消費者行政担当相の野田聖子氏(48)は、岐阜市内で最後の街頭演説を行った。劣勢が伝えられる中、「心が折れそうになったが、皆さんのおかげで頑張れた」と振り返り、時折、声を詰まらせながら最後は「どうか助けてください」と何度も頭を下げた。

 民主新人の柴橋正直氏(30)は同市内の商店街で最後の訴え。初挑戦で敗北した前回を振り返り、「当時は裸一貫だったが、今回は多くの支えでここまで来られた。育ての親は皆さんだ」と目を潤ませ、「岐阜の地から手づくりで政治を作り上げていこう」と呼び掛けた。このほか共産新人の鈴木正典氏(45)と、幸福実現新人の小沢和恵氏(25)も立候補している。

 ◇京都5区

 過疎と高齢化が進む府北部の選挙区。10選を目指す自民前職の谷垣禎一氏(64)は宮津市で、建設業者らに景気対策としての社会資本整備、公共事業の必要性を語り、「お助けいただき、何とか勝たせてください」と訴えた。

 一方、民主新人の小原舞氏(35)はJR東舞鶴駅前で「地方中心の政治に変える。今回勝たなければ次はない。最後までお力添えを」と声を張り上げた。7カ月の長男を抱えて聞いた主婦(28)は「子どもの将来を考え、今まで以上にこの選挙に注目しています」と話した。

 共産新人の吉田早由美氏(58)、幸福実現新人の詫間啓司氏(30)も立候補している。

 ◇福岡2区

 「逆風が強くて苦戦しています」。自民前職で山崎派領袖の山崎拓氏(72)は若々しい水色のワイシャツ姿で、流れる汗もぬぐわずに炎天下の街頭を走り回った。12期のベテランも今回は選挙区に張り付いてドブ板を展開。「郷土の皆様に育てていただいた山崎拓をどうか当選させてください」と訴え、この日は福岡市中心街を支持者約150人と練り歩いた。

 民主新人の稲富修二氏(39)は同市の事務所で「政権交代が実現する大きな日を迎えようとしている。福岡のど真ん中から私を国会へ送り出してください」と最後の訴えをした。共産新人の小林解子氏(29)と幸福実現新人の佐竹秀夫氏(55)も立候補している。

毎日新聞 2009年8月30日 東京朝刊

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