ワシントン(CNN) アフリカ東部のソマリア沖で多発する海賊被害で、米海軍当局者は29日までに、乗っ取られた台湾船籍の漁船の動向を追跡している米海軍ヘリコプターに対し海賊が強力な火器で発砲したと述べた。
機体には直接命中しなかった。ソマリアの海賊が米軍の航空機に発砲したのは初めてとしている。ヘリは応戦しなかった。海賊摘発に当たる米軍艦船への発砲はこれまで報告されている。漁船から約274メートル離れた上空にいたヘリへの発砲は26日に起きたが、海賊が使った火器の種類には言及しなかった。
台湾の漁船は今年4月6日、ソマリア沖で襲われ、乗っ取られていた。人質となった乗組員は100人以上で、船上にいるとみられる。米海軍当局者によると、同漁船は海賊が他船舶を襲う際の「母船」としても使われているという。
ソマリア沿岸や北部のアデン湾は世界最悪の海賊多発海域。米海軍によると、今年1月以降の海賊による乗っ取り船舶は23隻で、未遂事件は103件となっている。
海賊事件の頻発を受けた国連安保理の要請で、米国、ロシア、北大西洋条約機構(NATO)加盟国、日本、インドなどが軍艦船をソマリア周辺に派遣、商船護衛の海賊防止の作戦に従事している。