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2009年 08月 23日
先に紹介した昭和29年10月20日の最高裁判例は学生が(住民票は移動しなくても、居住の実態があれば、その居住地での選挙権が認められたという事だ。
「選挙権は郷里にある」という選管の主張は退けられた。 選管は何をひねくれたか、逆襲に出た。住民票を郷里に置いたままの学生は即ち最高裁判例によって、郷里に選挙権はないとして、学生の選挙権剥奪の暴挙に出た。 曰く、 「住所登録が久慈市内にあっても、就学のため遠隔地に居住する学生は、投票所入場券が届いても投票は出来ません。」 (岩手県・久慈市) 「中標津町に住民登録をしたまま、修学地に居住する学生の方は、中標津町の名簿に登録されるべきでなかった者として取り扱われ、当町の入場券が届いても投票できません。」(北海道・中標津町) しかも念の入ったことに、今更あわてて住民票を移動しても3ヶ月は選挙権はありません。と。ダメを押している。住民票を移動しなかった罰に選挙権を取り上げます。ということだ。 最高裁判例に従うなら、学生さんは、就学地で投票できますので、たとえ住民票がなくても、学生証を提示するなどして、そちらで投票できます。(その場合郷里での二重投票は出来ません)。とすべきだ。 長崎県選管も島原市選管も同じ解釈だ。(役人は国民の権利を屁とも思っていない。) でも、(住民票を移動していない学生には)実際はその郷里の実家に「投票所入場券」が届く。投票日当日、または選挙期間中、期日前投票で投票所に行けば、投票できる。確認のしようがないからだ。 そこで(島原をモデルに取る)「あの~僕は今学生で長崎市に住んでいるけど、わざわざ投票するために島原まで帰って来ました。」と会話をしたとする。 するとこうだ、「ほう、聞いたぞ聞いたぞ、何お前は島原に住民票を置いたまま、長崎市に住んでいると言ったな。知ってしまったら見逃すわけに行かんな。お前に選挙権はないよ、とっとと失せろ。」 「そんな馬鹿な、じゃあ長崎市で投票するんですか?」 「ばーか、住民票がこっちにあるんだから、長崎市で投票できるわけないじゃないか、3ヶ月前に住民票の移動をしなきゃだねだったってことさ。てめえが悪いんだよ。」 もちろん島原市の選管はゼントルマンスタッフだから、こんな乱暴な言葉遣いはしない。でも、言葉丁寧に学生の選挙権を取り上げてしまうのだ。なんと恐ろしいことではないか。 以下選管スタッフの(一般的な)心の声。 「馬鹿なやつだなあ、黙ってりゃ、投票させてやったのに・・・馬鹿正直に事実を言うから、投票させるわけにいかんじゃないか。」「おまけに、発覚した以上、この学生は選挙人名簿に登録すべきでなかった者だから、登録抹消をしなきゃならない。(公選法28条)、せからしいなあ(面倒くさいなあ)この抹消手続きは告示行為だから抹消結果の報告までしなきゃならない。ったく、仕事を増やしやがって。」 (そして選挙管理委員会事務局長に書類を回すと、) 局長「何だこれは、こんなの初めてだぞ」 吏員「公選法28条で、抹消手続きを・・・」 局長「ほったらかしちょけ、みんなが迷惑する。」 吏員「なら断った学生に選挙権があることになるじゃないですか。」 局長「棄権したと思えばいいじゃないか。頭を使え。」 (だいたい、わざわざ選挙のために帰ってくる学生が悪いんだ!学生は選挙に来るな!) (ただでさえ選挙のときは忙しいのに!投票なんかしないで寝ていてくれればいいのに。) ・・・・ (良心の呵責にさいなまれ、) 吏員「ならばあの時、学生に投票させてやればよかった・・・、わざわざ汽車賃払って帰ってきたのだろうに、考えてみれば、感心な学生なのに・・・」(もっと誇りのもてる仕事がしたい・・・) 今の役人は、憲法の「人権を守る」という精神を全く身につけていない。国民の権利を奪い制限することに熱心だ。馬鹿につける薬はない、と、とっくに市民は諦めているのだろう。しかし僕は諦めないぞ。 正解 局長「ばかもん!まずその学生の居住地での選挙権を保証するのが先だろうが!個人の権利を奪うことの意味がわかっとらんな。」 吏員「でも3ヶ月条項が・・・」 局長「その条項がなくてもOKというのが29.10.20判例の意味だろうが!勉強しとらんな。」 吏員「でも・・・」 局長「判例には『特段の事由のない限り』とあるだろうが、今回の場合郷里で投票するのだから、つまり登録名簿のとおりなのだから、郷里に住所を置いておく事情があったと考えれば何も問題ないじゃないか。頭を使え!」
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